第29章 原子核と素粒子

原子核の構造
─ 陽子と中性子

もし原子を東京ドームの大きさに拡大したら、原子核はマウンドの上に置いた小さなビー玉に過ぎません。
それほど小さな原子核に、原子の質量のほぼすべてが詰め込まれています。
この極微の世界を支配するのは、日常では出会わない強い力と、量子力学の不思議なルールです。
原子核の構造を理解することは、放射線や核エネルギーを学ぶための最初の一歩になります。

1原子核の発見 ─ ラザフォードの散乱実験

19世紀末まで、原子の内部構造についてはほとんど何もわかっていませんでした。 J.J.トムソンは電子を発見し、正の電荷が原子全体に広がった中に電子が埋め込まれている「ブドウパンモデル(プラムプディングモデル)」を提唱していました。

1911年、ラザフォードは、薄い金箔に$\alpha$ 粒子(ヘリウム原子核)を照射する実験を行いました。 もしトムソンのモデルが正しければ、正電荷が薄く広がっているため、$\alpha$ 粒子はほとんど曲がらずに通過するはずです。

ところが実験の結果、ほとんどの $\alpha$ 粒子はまっすぐ通過したものの、ごく一部が大きく散乱され、中には跳ね返されるものもありました。 ラザフォードはこれを、「紙にピストルの弾を撃ち込んだら跳ね返ってきたようなものだ」と表現しました。

💡 ここが本質:原子核の発見は「跳ね返り」から

$\alpha$ 粒子が大角度に散乱されたということは、原子の中に正の電荷と質量が極めて小さい領域に集中していることを意味します。 この小さく重い核をラザフォードは原子核と名づけました。

大部分の $\alpha$ 粒子がまっすぐ通過した事実は、原子のほとんどの体積が空っぽの空間であることを示しています。

ラザフォードモデル

この実験から、ラザフォードは次のような原子モデルを提案しました。

  • 原子の中心に、正電荷をもつ非常に小さな原子核がある
  • 原子核の周囲を、負の電荷をもつ電子が運動している
  • 原子核の大きさは原子全体の大きさの約 $10^{-5}$ 倍($10^{-15}\,\text{m}$ 程度)
  • 原子の質量のほぼすべてが原子核に集中している
⚠️ 落とし穴:「原子核の周りを電子が回っている」を太陽系のように描く

✕ 誤:電子は惑星のように確定した軌道を描いて原子核の周りを回っている

○ 正:電子は確率的に存在し、「電子雲」として原子核の周囲に分布している(量子力学的描像)

ラザフォードモデルは原子核の存在を示した点で画期的でしたが、電子の運動については古典的な描像の限界がありました。 これはのちにボーアモデル、さらに量子力学によって修正されます。

🔬 深掘り:散乱実験の定量的解析

ラザフォードは、$\alpha$ 粒子と原子核の間のクーロン力(静電気力)を用いて、散乱角の分布を理論的に計算しました。 この計算結果は実験データと見事に一致し、原子核モデルの正しさが裏付けられました。

$\alpha$ 粒子が原子核に最も近づく距離(最接近距離)$d$ は、運動エネルギー $K$ と電気的な位置エネルギーの関係から、

$$d = \frac{kZe \cdot 2e}{K}$$

と求まります。ここで $Z$ は標的原子の原子番号、$e$ は電気素量、$k$ はクーロン定数です。 この値から原子核の大きさの上限を見積もることができました。

2核子 ─ 陽子と中性子

原子核は何でできているのでしょうか。 原子核を構成する粒子を核子(nucleon)と呼びます。 核子には2種類あります。陽子中性子です。

陽子の発見

ラザフォードは1919年、窒素原子核に $\alpha$ 粒子を衝突させる実験で、水素原子核が飛び出してくることを観測しました。 彼はこれを、すべての原子核に共通する基本粒子と考え、陽子(proton)と名づけました。 陽子は正の電荷 $+e$($e = 1.602 \times 10^{-19}\,\text{C}$)をもち、質量は $m_p = 1.673 \times 10^{-27}\,\text{kg}$ です。

中性子の発見

陽子だけでは原子核の質量を説明できません。 たとえばヘリウム原子核は陽子2個分の電荷をもちますが、質量は陽子4個分もあります。 「電荷をもたない粒子が原子核の中にあるのではないか」と予想されていました。

1932年、チャドウィックがベリリウムにα粒子を照射する実験で、電荷をもたない粒子が放出されることを発見しました。 これが中性子(neutron)です。 中性子は電荷をもたず($q = 0$)、質量は $m_n = 1.675 \times 10^{-27}\,\text{kg}$ で、陽子とほぼ同じです。

📐 核子の基本量

陽子:電荷 $+e = +1.602 \times 10^{-19}\,\text{C}$、質量 $m_p = 1.673 \times 10^{-27}\,\text{kg} \approx 1.007\,\text{u}$

中性子:電荷 $0$、質量 $m_n = 1.675 \times 10^{-27}\,\text{kg} \approx 1.009\,\text{u}$

※ $\text{u}$(統一原子質量単位)は $^{12}\text{C}$ 原子の質量の $\frac{1}{12}$ で、$1\,\text{u} = 1.661 \times 10^{-27}\,\text{kg}$。
💡 ここが本質:原子核 = 陽子 + 中性子

すべての原子核は陽子と中性子の組み合わせで構成されています(水素$^1$Hは陽子1個のみ)。

陽子の数が元素の種類(原子番号)を決め、中性子の数は同じ元素でも異なりうる(同位体)。 この2つの数字を知れば、原子核の基本的な性質がわかります。

⚠️ 落とし穴:陽子と中性子の質量を「同じ」としてしまう

✕ 誤:陽子と中性子の質量はまったく同じ

○ 正:中性子の方がわずかに重い($m_n - m_p \approx 1.293\,\text{MeV}/c^2$)

このわずかな質量差が、自由な中性子が陽子に崩壊する($\beta$ 崩壊)ことを可能にしています。 質量数の計算では近似的に同じとしてよいですが、核反応のエネルギー計算では区別が必要になる場面があります。

3原子番号・質量数・同位体

原子核の性質を記述するために、2つの重要な数を使います。

原子番号と質量数

  • 原子番号 $Z$:原子核中の陽子の数。元素の種類を決定する
  • 質量数 $A$陽子の数 $Z$ と中性子の数 $N$ の合計。$A = Z + N$

原子核の表記法として、元素記号 $\text{X}$ の左上に質量数 $A$、左下に原子番号 $Z$ を書きます。

📐 原子核の表記法

$${}^{A}_{Z}\text{X}$$

例:${}^{12}_{6}\text{C}$(炭素12)… 陽子6個、中性子6個

例:${}^{56}_{26}\text{Fe}$(鉄56)… 陽子26個、中性子30個

※ $A = Z + N$ の関係から、中性子の数は $N = A - Z$ で求められます。

同位体(アイソトープ)

同じ元素(同じ原子番号 $Z$)であっても、中性子の数 $N$ が異なる原子核が存在します。 これを同位体(isotope)と呼びます。

たとえば水素には、次の3つの同位体があります。

名称 記号 陽子数 $Z$ 中性子数 $N$ 質量数 $A$
軽水素(プロチウム) ${}^{1}_{1}\text{H}$ 1 0 1
重水素(デューテリウム) ${}^{2}_{1}\text{H}$(D) 1 1 2
三重水素(トリチウム) ${}^{3}_{1}\text{H}$(T) 1 2 3

同位体どうしは化学的性質がほぼ同じですが、質量が異なるため物理的性質(とくに核の安定性)が違います。 放射線を出す同位体を放射性同位体(ラジオアイソトープ)と呼びます。

⚠️ 落とし穴:「同位体」と「同素体」を混同する

✕ 誤:ダイヤモンドとグラファイトは炭素の同位体

○ 正:ダイヤモンドとグラファイトは炭素の同素体(同じ元素からなる異なる単体)

同位体は原子核レベルの違い(中性子数の違い)であり、同素体は分子や結晶構造の違いです。まったく別の概念ですので注意しましょう。

🔬 深掘り:安定な原子核の $N$ と $Z$ の関係

軽い原子核では $N \approx Z$ のとき安定ですが、重い原子核では $N > Z$ の方が安定になります。

これは、陽子どうしにはクーロン斥力が働くため、重い原子核ほど中性子を多く含んで核力による引力を増やさないと安定を保てないためです。 $N$ と $Z$ の関係をグラフにしたものを「安定の谷」と呼び、この谷から外れた核は放射性崩壊を起こします。

4原子核の大きさと核力

原子核は陽子と中性子が強く結びついた「かたまり」です。 しかし、陽子はすべて正の電荷をもちますから、クーロン力(静電気力)によって互いに反発し合うはずです。 それにもかかわらず原子核が安定に存在できるのは、クーロン力よりもはるかに強い核力が核子の間に働いているからです。

原子核の大きさ

実験から、原子核の半径 $r$ は質量数 $A$ に対して次のような経験式で表されることがわかっています。

📐 原子核の半径

$$r = r_0 A^{1/3}$$

$r_0 \approx 1.2 \sim 1.3\,\text{fm}$($1\,\text{fm} = 10^{-15}\,\text{m}$)

※ この式は原子核の体積 $V \propto r^3 \propto A$ となること、すなわち核子1個あたりの体積がほぼ一定であることを意味します。
▷ 核の密度が一定であることの意味

$r = r_0 A^{1/3}$ より、原子核の体積は

$$V = \frac{4}{3}\pi r^3 = \frac{4}{3}\pi r_0^3 A$$

核子1個あたりの体積は $\frac{V}{A} = \frac{4}{3}\pi r_0^3 \approx \text{一定}$ です。

これは、原子核内部の密度がほぼ一定であることを意味します。 核子どうしは「非圧縮性の液体」のように詰まっているのです。この描像は「液滴模型」の基礎になります。

核力の特徴

核力(strong nuclear force)には、次のような特徴があります。

  • 非常に強い:クーロン力の約100倍の強さがある
  • 短距離力:核子間の距離が約 $1 \sim 2\,\text{fm}$ のとき最も強く、$3\,\text{fm}$ 以上ではほぼゼロになる
  • 電荷に依存しない:陽子-陽子、陽子-中性子、中性子-中性子の間の核力はほぼ同じ(荷電独立性)
  • 飽和性:核子は隣接する数個の核子としか強く相互作用しない
💡 ここが本質:核力とクーロン力の「綱引き」

原子核の安定性は、核力(引力)クーロン力(斥力)のバランスで決まります。

核力は短距離力なので、隣接する核子からしか引力を受けません。 一方、クーロン力は長距離力なので、すべての陽子から斥力を受けます。 原子番号 $Z$ が大きくなると、クーロン力の総和が増大し、やがて核力で支えきれなくなります。 これが $Z > 83$(ビスマス)の元素がすべて放射性である理由です。

⚠️ 落とし穴:核力を「万有引力の強い版」と考える

✕ 誤:核力は万有引力と同じように距離の2乗に反比例する力である

○ 正:核力は約 $2\,\text{fm}$ を超えると急激に弱まる「短距離力」であり、距離依存性は万有引力やクーロン力とはまったく異なる

核力が短距離力であることは、原子核の大きさが有限であることや、核分裂が起こりうることの根本的な理由です。

🔬 深掘り:中間子理論と湯川秀樹

1935年、湯川秀樹は核力を媒介する粒子として中間子(メソン)の存在を理論的に予言しました。 核力の到達距離 $R$ と中間子の質量 $m$ の間には

$$R \sim \frac{\hbar}{mc}$$

という関係(不確定性原理に基づく)があり、$R \approx 1.4\,\text{fm}$ から中間子の質量を $m \approx 200\,m_e$(電子質量の約200倍)と予測しました。 1947年に $\pi$ 中間子(パイオン)が発見され、湯川は1949年に日本人初のノーベル物理学賞を受賞しました。

5この章を俯瞰する

原子核の構造は、放射線、核反応、核エネルギー、そして素粒子物理学のすべての出発点です。 ここで学んだ概念が、今後どのように発展していくかを確認しましょう。

つながりマップ

  • ← 原子の構造とボーアモデル:原子核の周囲の電子配置を扱った。ここではその中心にある原子核自体に焦点を当てる。
  • → A-3-2 放射線の種類と性質:不安定な原子核が $\alpha$ 線・$\beta$ 線・$\gamma$ 線を放出するしくみ。核力とクーロン力のバランスが崩れた結果。
  • → A-3-3 放射性崩壊と半減期:原子核の不安定性を定量的に扱う。崩壊定数と半減期の関係式。
  • → A-3-5 質量欠損と核エネルギー:核子の結合エネルギーと $E = mc^2$ の関係。原子核の安定性をエネルギーの観点から理解する。
  • → A-3-7 素粒子:陽子・中性子はクォークから構成されている。核力の本質は「強い相互作用」である。

📋まとめ

  • ラザフォードの散乱実験により、原子の中心に正電荷と質量が集中した小さな原子核が存在することが発見された
  • 原子核は陽子(正電荷 $+e$)と中性子(電荷なし)からなる。これらを総称して核子と呼ぶ
  • 原子番号 $Z$ は陽子の数、質量数 $A$ は陽子と中性子の合計 $A = Z + N$
  • 同じ原子番号で中性子数が異なる原子核を同位体(アイソトープ)と呼ぶ
  • 原子核の半径は $r = r_0 A^{1/3}$ で表され、核の密度はほぼ一定
  • 核子間には核力(強い短距離引力)が働き、陽子間のクーロン斥力に打ち勝って原子核を安定に保つ

確認テスト

Q1. ラザフォードの散乱実験で、$\alpha$ 粒子の大部分が金箔をまっすぐ通過した事実は、原子についてどのようなことを示していますか。

▶ クリックして解答を表示原子の内部はほとんどが空間であり、質量と正電荷は非常に小さな領域(原子核)に集中していることを示しています。

Q2. ${}^{56}_{26}\text{Fe}$ の原子核に含まれる陽子の数と中性子の数をそれぞれ答えてください。

▶ クリックして解答を表示陽子の数は $Z = 26$ 個、中性子の数は $N = A - Z = 56 - 26 = 30$ 個です。

Q3. 同位体とは何かを簡潔に説明してください。

▶ クリックして解答を表示同じ元素(同じ原子番号 $Z$)で、中性子の数 $N$ が異なる原子核のことです。化学的性質はほぼ同じですが、質量や核の安定性が異なります。

Q4. 核力の特徴を2つ挙げてください。

▶ クリックして解答を表示(1) 非常に強い力であり、クーロン力の約100倍の強さがある。(2) 短距離力であり、核子間の距離が約 $2\,\text{fm}$ を超えると急激に弱まる。

Q5. 原子番号が83を超えるすべての元素が放射性であるのはなぜですか。

▶ クリックして解答を表示陽子の数が増えるとクーロン斥力の総和が大きくなりますが、核力は短距離力のため隣接する核子としか相互作用しません。$Z > 83$ では核力がクーロン斥力を支えきれなくなり、原子核が不安定になるためです。

8入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

3-1-1 A 基礎 原子核の構成 計算

次の原子核について、含まれる陽子の数と中性子の数をそれぞれ答えよ。

(1) ${}^{238}_{92}\text{U}$(ウラン238)

(2) ${}^{14}_{7}\text{N}$(窒素14)

(3) ${}^{4}_{2}\text{He}$(ヘリウム4)

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) 陽子 $92$ 個、中性子 $146$ 個

(2) 陽子 $7$ 個、中性子 $7$ 個

(3) 陽子 $2$ 個、中性子 $2$ 個

解説

方針:${}^{A}_{Z}\text{X}$ の表記から、$Z$ が陽子数、$N = A - Z$ が中性子数です。

(1) $Z = 92$、$N = 238 - 92 = 146$

(2) $Z = 7$、$N = 14 - 7 = 7$

(3) $Z = 2$、$N = 4 - 2 = 2$

B 発展レベル

3-1-2 B 発展 原子核の大きさ 計算

原子核の半径は $r = r_0 A^{1/3}$($r_0 = 1.2\,\text{fm}$)で与えられる。次の問いに答えよ。

(1) ${}^{27}_{13}\text{Al}$(アルミニウム)の原子核の半径を求めよ。

(2) ${}^{216}_{84}\text{Po}$(ポロニウム)の原子核の半径は、アルミニウムの原子核の半径の何倍か。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $3.6\,\text{fm}$

(2) $2.0$ 倍

解説

(1) $r_{\text{Al}} = 1.2 \times 27^{1/3} = 1.2 \times 3.0 = 3.6\,\text{fm}$

(2) $\frac{r_{\text{Po}}}{r_{\text{Al}}} = \frac{r_0 \times 216^{1/3}}{r_0 \times 27^{1/3}} = \left(\frac{216}{27}\right)^{1/3} = 8^{1/3} = 2.0$

質量数が8倍になると、半径は $8^{1/3} = 2$ 倍になります。体積は $2^3 = 8$ 倍で質量数に比例しており、密度が一定であることが確認できます。

採点ポイント
  • $27^{1/3} = 3$ を正しく計算する(2点)
  • 半径の比を $A^{1/3}$ の比として求める(3点)
  • 密度一定の物理的意味に触れる(2点)

C 応用レベル

3-1-3 C 応用 ラザフォード散乱 論述

ラザフォードの $\alpha$ 粒子散乱実験において、運動エネルギー $K = 7.7\,\text{MeV}$ の $\alpha$ 粒子を金(${}^{197}_{79}\text{Au}$)の原子核に正面衝突させた。$\alpha$ 粒子が金の原子核に最も近づく距離(最接近距離)$d$ を求めよ。ただし、クーロン定数 $k = 9.0 \times 10^9\,\text{N}\cdot\text{m}^2/\text{C}^2$、電気素量 $e = 1.6 \times 10^{-19}\,\text{C}$、$1\,\text{MeV} = 1.6 \times 10^{-13}\,\text{J}$ とする。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

$d \approx 30\,\text{fm}$($3.0 \times 10^{-14}\,\text{m}$)

解説

方針:$\alpha$ 粒子が最接近するとき、運動エネルギーがすべて電気的位置エネルギーに変換されます。エネルギー保存則を使います。

$\alpha$ 粒子の電荷は $q_\alpha = 2e$、金の原子核の電荷は $q_{\text{Au}} = 79e$ です。

エネルギー保存則より、

$$K = k\frac{q_\alpha \cdot q_{\text{Au}}}{d} = k\frac{2e \times 79e}{d}$$

$$d = \frac{k \times 2 \times 79 \times e^2}{K}$$

$$= \frac{9.0 \times 10^9 \times 158 \times (1.6 \times 10^{-19})^2}{7.7 \times 1.6 \times 10^{-13}}$$

$$= \frac{9.0 \times 10^9 \times 158 \times 2.56 \times 10^{-38}}{1.232 \times 10^{-12}}$$

$$= \frac{3.64 \times 10^{-26}}{1.232 \times 10^{-12}} \approx 3.0 \times 10^{-14}\,\text{m} = 30\,\text{fm}$$

この値は原子核の半径(数 fm)よりも大きいため、$\alpha$ 粒子は原子核の表面には到達せず、クーロン力だけで散乱されていることがわかります。

採点ポイント
  • エネルギー保存則を正しく立式する(3点)
  • $\alpha$ 粒子の電荷 $2e$ と金の原子番号 $79$ を正しく使う(2点)
  • 単位変換(MeV → J)を正しく行う(2点)
  • 最接近距離を正しく求める(2点)
  • 物理的考察(原子核の大きさとの比較など)を述べる(1点)