電場の重ね合わせはベクトルの足し算で大変でした。しかし電位はスカラーなので、複数の電荷がつくる電位は単純な数値の足し算で求められます。これが電位を使う最大のメリットです。
$$V = k\frac{Q}{r}$$
× 誤:電位も $1/r^2$ に比例する
○ 正:電場は $1/r^2$、電位は $1/r$。距離が2倍になると電場は $1/4$、電位は $1/2$
電場の大きさを求めるときは $|Q|$ を使いましたが、電位では $Q$ の符号をそのまま含めます。正電荷のまわりは電位が正(山)、負電荷のまわりは電位が負(谷)です。
複数の点電荷がつくる電位は、各電荷の電位の単純な和(スカラーの足し算)です。
$$V = V_1 + V_2 + \cdots = k\frac{Q_1}{r_1} + k\frac{Q_2}{r_2} + \cdots$$
「電場がゼロ」と「電位がゼロ」は全く別の条件です。電場がゼロでも電位はゼロとは限らず、電位がゼロでも電場はゼロとは限りません。
電場を求めたいときはベクトル和、電位を求めたいときはスカラー和。問題が何を聞いているかで使い分けましょう。
等電位面は、電位が等しい点を結んだ面です。地図の等高線の3次元版です。
等電位面上の2点間では $\Delta V = 0$ なので $W = q\Delta V = 0$。電荷を等電位面に沿って動かしても仕事は不要です。逆に言えば、仕事をしないで移動できる面が等電位面です。
$V = k\dfrac{Q}{d} + k\dfrac{-Q}{d} = 0$。中点の電位はゼロ。しかし電場はゼロではない(E-2-3 で学んだ通り)。
$V = k\dfrac{Q}{d} + k\dfrac{Q}{d} = \dfrac{2kQ}{d}$。中点の電位はゼロではない。しかし電場はゼロ。
× 誤:ある点の電位がゼロなら電場もゼロ
○ 正:電位ゼロと電場ゼロは独立した条件。$+Q$ と $-Q$ の中点では電位はゼロだが電場は強い
Q1. 点電荷がつくる電位の公式を書いてください。
Q2. $+Q$ と $-Q$ が距離 $2d$ で置かれているとき、中点の電位はいくらか。
Q3. 電位の重ね合わせと電場の重ね合わせの違いは何か。
Q4. 等電位面と電気力線はどのような角度をなすか。
$+2.0\,\mu\text{C}$ の点電荷から $0.30\,\text{m}$ の点の電位を求めよ。$k = 9.0 \times 10^9$ とする。
$V = 6.0 \times 10^4\,\text{V}$
$V = k\dfrac{Q}{r} = 9.0 \times 10^9 \times \dfrac{2.0 \times 10^{-6}}{0.30} = 6.0 \times 10^4\,\text{V}$
$+4.0\,\mu\text{C}$ と $-2.0\,\mu\text{C}$ が $0.60\,\text{m}$ 離れて置かれている。2電荷の中点の電位を求めよ。
$V = 6.0 \times 10^4\,\text{V}$
中点から各電荷までの距離は $0.30\,\text{m}$。
$V = k\dfrac{4.0 \times 10^{-6}}{0.30} + k\dfrac{-2.0 \times 10^{-6}}{0.30} = k\dfrac{2.0 \times 10^{-6}}{0.30} = 9.0 \times 10^9 \times \dfrac{2.0 \times 10^{-6}}{0.30} = 6.0 \times 10^4\,\text{V}$
$x$ 軸上の原点に $+4Q$、$x = L$ に $-Q$ を置いた。$x$ 軸上で電位がゼロになる点の座標を求めよ(2つある)。
$x = \dfrac{4L}{5}$(2電荷の間)および $x = \dfrac{4L}{3}$($-Q$ の外側)
$k\dfrac{4Q}{x} + k\dfrac{-Q}{|x - L|} = 0$ → $\dfrac{4}{x} = \dfrac{1}{|x - L|}$
$0 < x < L$ の場合:$4(L - x) = x$ → $x = 4L/5$
$x > L$ の場合:$4(x - L) = x$ → $3x = 4L$ → $x = 4L/3$
正三角形の頂点に $+Q$, $+Q$, $-Q$ を置いた。辺の長さを $a$ とするとき、正三角形の重心の電位を求めよ。
$V = \dfrac{kQ\sqrt{3}}{a}$
重心から各頂点までの距離は $r = \dfrac{a}{\sqrt{3}}$。
$V = k\dfrac{Q}{r} + k\dfrac{Q}{r} + k\dfrac{-Q}{r} = k\dfrac{Q}{r} = k\dfrac{Q}{a/\sqrt{3}} = \dfrac{kQ\sqrt{3}}{a}$
$+Q$ と $+Q$ が距離 $d$ で固定されている。無限遠から $+q$ の電荷をこの2電荷の中点に持ってくるのに必要な仕事を求めよ。
$W = \dfrac{4kQq}{d}$
中点の電位:$V = k\dfrac{Q}{d/2} + k\dfrac{Q}{d/2} = \dfrac{2kQ}{d/2} = \dfrac{4kQ}{d}$
必要な仕事 $= qV = \dfrac{4kQq}{d}$(無限遠での電位は $0$)
$x$ 軸上の原点に $+2Q$、$x = L$ に $-Q$ を置いた。$x$ 軸上で電位がゼロになる点と電場がゼロになる点はそれぞれ異なる位置にあることを示し、その座標をそれぞれ求めよ。
電位ゼロ:$x = 2L/3$ および $x = 2L$。電場ゼロ:$x = (2+\sqrt{2})L \approx 3.41L$
電位ゼロ:$\dfrac{2Q}{x} + \dfrac{-Q}{|x - L|} = 0$ → $\dfrac{2}{x} = \dfrac{1}{|x-L|}$
$0 < x < L$:$2(L-x) = x$ → $x = 2L/3$
$x > L$:$2(x-L) = x$ → $x = 2L$
電場ゼロ:異符号なので $-Q$ の外側にある。$x = L + s$ とおくと
$\dfrac{2Q}{(L+s)^2} = \dfrac{Q}{s^2}$ → $2s^2 = (L+s)^2$ → $s = \dfrac{L}{\sqrt{2}-1} = L(\sqrt{2}+1)$
$x = L + L(\sqrt{2}+1) = (2+\sqrt{2})L \approx 3.41L$
電位ゼロの点と電場ゼロの点は異なる位置にあり、これは電位(スカラー)と電場(ベクトル)の性質の違いを反映している。