第25章 電磁誘導

電磁誘導 総合演習
─ 章末問題で実力を確認

第25章で学んだ電磁誘導の知識を総合的に活用する演習問題に挑戦しましょう。
ファラデーの法則、レンツの法則、導体棒の運動、自己誘導・相互誘導、渦電流など、
章全体の内容を横断する問題を通して、理解の定着と入試への対応力を高めます。

1電磁誘導の全体像 ─ 公式・法則の整理

まず、第25章で学んだ主要な公式・法則を一覧で整理します。個別の記事で学んだ内容を、ここで体系的に結びつけましょう。

電磁誘導の基本公式一覧

ファラデーの電磁誘導の法則(E-6-1)

$$V = -N \frac{\Delta \Phi}{\Delta t}$$

導体棒の誘導起電力(E-6-3)

$$V = vBl$$

レール上の導体棒の電流・力(E-6-4)

$$I = \frac{vBl}{R}, \quad F = BIl = \frac{B^2 l^2 v}{R}$$

自己誘導(E-6-5)

$$V_L = -L \frac{\Delta I}{\Delta t}, \quad U = \frac{1}{2}LI^2$$

相互誘導・変圧器(E-6-6)

$$V_2 = -M \frac{\Delta I_1}{\Delta t}, \quad \frac{V_1}{V_2} = \frac{N_1}{N_2}$$

$\Phi$:磁束 [Wb] $N$:コイルの巻数 $v$:速度 [m/s] $B$:磁束密度 [T] $l$:導体の長さ [m] $R$:抵抗 [$\Omega$] $L$:自己インダクタンス [H] $M$:相互インダクタンス [H]

2つのアプローチの使い分け

電磁誘導の問題では、誘導起電力を求める方法が大きく2つあります。

アプローチ 使う公式 適する場面
磁束変化(ファラデーの法則) $V = -N\dfrac{\Delta \Phi}{\Delta t}$ コイル内の磁場が変化する場合、面積が変化する場合
ローレンツ力(導体棒) $V = vBl$ 磁場中を導体棒が運動する場合

どちらのアプローチでも同じ結果が得られますが、問題の状況に応じて使いやすい方を選びます。導体棒がレール上を滑る問題では $V = vBl$ が直接的で便利です。

向きの決定 ─ レンツの法則

誘導起電力・誘導電流の向きは、常にレンツの法則で決まります。

「磁束の変化を妨げる向き」に誘導電流が流れる ── これが全ての基本です。

磁束が増加 → 増加を妨げる(逆向きの磁場を作る)向きに電流

磁束が減少 → 減少を妨げる(同じ向きの磁場を作る)向きに電流

2問題を解くための戦略

電磁誘導の入試問題を確実に解くための手順を整理します。以下のステップに沿って解き進めると、複雑な問題でも見通しが立ちやすくなります。

ステップ1:状況の把握

まず問題をよく読み、何が変化しているかを特定します。

  • 磁場 $B$ が変化しているのか(コイル内の磁場変化)
  • 面積 $S$ が変化しているのか(導体棒の運動、コイルの回転)
  • 角度 $\theta$ が変化しているのか(コイルの回転)

変化している量によって、使う公式やアプローチが決まります。

ステップ2:誘導起電力の計算

ステップ1の分析に基づいて、誘導起電力を計算します。

  • 磁場変化 → $V = -N\dfrac{\Delta \Phi}{\Delta t} = -NS\dfrac{\Delta B}{\Delta t}$
  • 面積変化(導体棒) → $V = vBl$
  • 角度変化(コイル回転) → $V = NBS\omega \sin\omega t$(交流の発生)

ステップ3:電流・力の計算

回路全体の抵抗 $R$ が分かれば、電流は $I = V/R$ で求まります。力は $F = BIl$ で計算します。

ステップ4:向きの決定

レンツの法則を適用して、誘導電流の向きを決めます。導体棒の問題ではフレミングの右手の法則も有効です。

総合問題でよくあるミス

NG: 導体棒の誘導起電力 $V = vBl$ を回路の起電力として使うとき、導体棒自身の内部抵抗を忘れる。

OK: 導体棒に内部抵抗 $r$ がある場合、回路全体の抵抗は $R + r$ となる。$I = \dfrac{vBl}{R + r}$

NG: 自己誘導の問題で、コイルの逆起電力の符号を間違える。

OK: 逆起電力は常に電流変化を妨げる向き。電流が増加中なら逆起電力は電流と逆向き。

エネルギー保存の視点

電磁誘導の問題では、エネルギー保存則が強力な検算ツールになります。

導体棒の問題:外力の仕事 = ジュール熱(等速運動の場合)

自己誘導の問題:コイルに蓄えられるエネルギー $U = \frac{1}{2}LI^2$ が保存される

計算結果がエネルギー保存と矛盾していないか、必ず確認しましょう。

3頻出テーマ別チェックリスト

入試で特に頻出のテーマを整理します。各テーマのポイントを確認し、弱点を把握しましょう。

テーマA:レール上の導体棒

入試での出題頻度が最も高いテーマです。以下の設定バリエーションに対応できるようにしましょう。

  • 外力で等速運動 → $F_{\text{外}} = \dfrac{B^2 l^2 v}{R}$(一定)
  • 初速 $v_0$ で自由運動 → 速度が指数関数的に減衰
  • 導体棒が2本 → 運動量保存+誘導起電力の式を連立
  • 斜面上の導体棒 → 重力成分 $mg\sin\theta$ と制動力のつりあい

テーマB:コイルと磁束変化

コイルを貫く磁束が変化する問題です。

  • $B$ が時間変化(増加・減少) → $V = -NS\dfrac{\Delta B}{\Delta t}$
  • 磁石をコイルに近づける / 遠ざける → レンツの法則で向きを判定
  • コイル間の相互誘導 → $V_2 = -M\dfrac{\Delta I_1}{\Delta t}$

テーマC:自己誘導とRL回路

コイルを含む直流回路の過渡現象です。

  • スイッチON → 電流は0から徐々に増加して $I_0 = V/R$ に近づく
  • スイッチOFF → コイルの蓄積エネルギー $\frac{1}{2}LI^2$ がジュール熱に変換
  • 十分時間が経過 → 電流変化なし → 逆起電力ゼロ → コイルは導線と同じ

テーマD:変圧器と送電

理想変圧器の計算と送電ロスの問題です。

  • 電圧比 $V_1/V_2 = N_1/N_2$
  • 電力保存 $V_1 I_1 = V_2 I_2$(理想変圧器)
  • 送電ロス $P_{\text{loss}} = I^2 r$ → 高電圧送電でロスを削減
入試頻出度ランキング

1位:レール上の導体棒 ─ ほぼ毎年どこかの大学で出題

2位:コイルの電磁誘導 ─ ファラデーの法則の直接適用

3位:自己誘導(RL回路) ─ 難関大で頻出

4位:変圧器・送電 ─ 共通テストで定番

5位:渦電流 ─ 記述問題として出題

4この章を俯瞰する

  • E-6-1 電磁誘導の法則 ─ ファラデーの法則 $V = -N\Delta\Phi/\Delta t$ が全ての出発点。磁束変化から起電力を求める基本。
  • E-6-2 レンツの法則 ─ 誘導電流の向きを決定する法則。「磁束変化を妨げる」方向に電流が流れる。
  • E-6-3 導体棒の運動と誘導起電力 ─ ローレンツ力からの導出 $V = vBl$。ファラデーの法則と等価であることの理解。
  • E-6-4 レール上の導体棒 ─ 回路方程式・力のつりあい・エネルギー保存を組み合わせた総合問題。入試最頻出。
  • E-6-5 自己誘導とインダクタンス ─ 逆起電力 $V_L = -L\Delta I/\Delta t$ とエネルギー $U = \frac{1}{2}LI^2$。コイルの過渡現象。
  • E-6-6 相互誘導と変圧器 ─ 2つのコイル間の誘導。変圧器の原理と送電への応用。
  • E-6-7 渦電流 ─ 板状導体に流れる誘導電流。電磁ブレーキ・IH・積層鉄心の理解。
まとめ
  • 電磁誘導の起電力は ファラデーの法則 $V = -N\Delta\Phi/\Delta t$ または $V = vBl$(導体棒)で求める。
  • 誘導電流の向きは レンツの法則(磁束変化を妨げる向き)で決まる。
  • レール上の導体棒では $I = vBl/R$, $F = B^2l^2v/R$ が基本。外力・自由運動・エネルギー保存の3つの視点で攻略。
  • 自己誘導の逆起電力は $V_L = -L\Delta I/\Delta t$。コイルのエネルギーは $U = \frac{1}{2}LI^2$。
  • 変圧器は $V_1/V_2 = N_1/N_2$, $V_1 I_1 = V_2 I_2$。高電圧送電で送電ロス $I^2 r$ を削減。
  • 渦電流は板状導体中の誘導電流。レンツの法則に従い、電磁ブレーキの原理となる。

確認テスト ─ 章全体の理解をチェック

Q1. 磁束密度 $B = 0.50\,\text{T}$ の一様磁場中で、長さ $l = 0.40\,\text{m}$ の導体棒が磁場と導体棒の両方に垂直な方向に $v = 3.0\,\text{m/s}$ で動いている。誘導起電力の大きさは何 V か。

▶ クリックして答えを表示 $V = vBl = 3.0 \times 0.50 \times 0.40 = 0.60\,\text{V}$

Q2. 巻数 $N = 200$、断面積 $S = 5.0 \times 10^{-3}\,\text{m}^2$ のコイルを貫く磁束密度が $0.10\,\text{s}$ の間に $0.20\,\text{T}$ から $0.80\,\text{T}$ に変化した。誘導起電力の大きさはいくらか。

▶ クリックして答えを表示 $|V| = N S \dfrac{\Delta B}{\Delta t} = 200 \times 5.0 \times 10^{-3} \times \dfrac{0.80 - 0.20}{0.10} = 6.0\,\text{V}$

Q3. 自己インダクタンス $L = 0.20\,\text{H}$ のコイルに $3.0\,\text{A}$ の電流が流れている。コイルに蓄えられているエネルギーは何 J か。

▶ クリックして答えを表示 $U = \frac{1}{2}LI^2 = \frac{1}{2} \times 0.20 \times 3.0^2 = 0.90\,\text{J}$

Q4. 理想変圧器の1次コイルの巻数が $500$ 回、2次コイルの巻数が $50$ 回のとき、1次側に $100\,\text{V}$ の交流電圧を加えると2次側の電圧はいくらか。また、2次側に $2.0\,\text{A}$ の電流が流れるとき、1次側の電流はいくらか。

▶ クリックして答えを表示 電圧比:$V_2 = V_1 \times \dfrac{N_2}{N_1} = 100 \times \dfrac{50}{500} = 10\,\text{V}$。電流:$I_1 = I_2 \times \dfrac{N_2}{N_1} = 2.0 \times \dfrac{50}{500} = 0.20\,\text{A}$

E入試問題演習

問題 6-8-1 A 基礎 ファラデーの法則 レンツの法則

図のように、巻数 $N = 100$ 回、断面積 $S = 2.0 \times 10^{-3}\,\text{m}^2$ の円形コイルが、コイル面に垂直な一様磁場の中に置かれている。 磁束密度の大きさ $B$ は次のように時間変化する。

$0 \leq t \leq 0.20\,\text{s}$:$B$ は $0$ から $0.50\,\text{T}$ まで一様に増加
$0.20\,\text{s} \leq t \leq 0.50\,\text{s}$:$B = 0.50\,\text{T}$ で一定
$0.50\,\text{s} \leq t \leq 0.80\,\text{s}$:$B$ は $0.50\,\text{T}$ から $0$ まで一様に減少

(1) $0 \leq t \leq 0.20\,\text{s}$ の間にコイルに生じる誘導起電力の大きさを求めよ。

(2) $0.20\,\text{s} \leq t \leq 0.50\,\text{s}$ の間にコイルに生じる誘導起電力の大きさを求めよ。

(3) $0.50\,\text{s} \leq t \leq 0.80\,\text{s}$ の間にコイルに生じる誘導起電力の大きさを求めよ。

(4) $0 \leq t \leq 0.20\,\text{s}$ と $0.50\,\text{s} \leq t \leq 0.80\,\text{s}$ で、誘導電流の向きは同じか、逆か。理由とともに答えよ。

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解答

(1) $0.50\,\text{V}$

(2) $0\,\text{V}$

(3) $\dfrac{1}{3}\,\text{V} \approx 0.33\,\text{V}$

(4) 逆向き

解説

(1) $|V| = NS\dfrac{\Delta B}{\Delta t} = 100 \times 2.0 \times 10^{-3} \times \dfrac{0.50 - 0}{0.20} = 100 \times 2.0 \times 10^{-3} \times 2.5 = 0.50\,\text{V}$

(2) $B$ が一定なので $\Delta B = 0$、よって $V = 0$。磁束が変化しなければ誘導起電力は生じません。

(3) $|V| = NS\dfrac{\Delta B}{\Delta t} = 100 \times 2.0 \times 10^{-3} \times \dfrac{0.50}{0.30} = 100 \times 2.0 \times 10^{-3} \times \dfrac{5}{3} = \dfrac{1}{3}\,\text{V} \approx 0.33\,\text{V}$

(4) レンツの法則より、(1)の区間では $B$ が増加するため磁束の増加を妨げる向き(磁場と逆向きの磁場を作る向き)に電流が流れます。(3)の区間では $B$ が減少するため磁束の減少を妨げる向き(磁場と同じ向きの磁場を作る向き)に電流が流れます。したがって、誘導電流の向きはです。

採点ポイント
  • (1) $\Delta B / \Delta t$ の計算が正しい(2点)
  • (2) 磁束変化がないことの指摘(2点)
  • (3) 時間間隔 $0.30\,\text{s}$ を正しく使う(2点)
  • (4) レンツの法則に基づく向きの説明(4点)
問題 6-8-2 B 発展 導体棒 エネルギー保存

図のように、間隔 $l = 0.50\,\text{m}$ の平行な2本のレールが水平面上に置かれ、一端が抵抗 $R = 2.0\,\Omega$ で接続されている。 レールに垂直に載せた質量 $m = 0.10\,\text{kg}$ の導体棒 PQ が、鉛直上向きの一様磁場(磁束密度 $B = 0.80\,\text{T}$)の中で右向きに初速 $v_0 = 5.0\,\text{m/s}$ で滑り出した。 導体棒とレールの間の摩擦および導体棒・レールの抵抗は無視できるとする。

(1) 時刻 $t = 0$ における導体棒 PQ に流れる電流の大きさと向き(P→Q または Q→P)を求めよ。

(2) 時刻 $t = 0$ における導体棒 PQ に働く力の大きさと向きを求めよ。

(3) 十分時間が経った後の導体棒の速度を求めよ。

(4) 導体棒が静止するまでに抵抗 $R$ で消費されるジュール熱を求めよ。

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解答

(1) $I = 1.0\,\text{A}$、向きは右手の法則により P→Q(磁場と速度の向きに依存、ここではレンツの法則で決定)

(2) $F = 0.40\,\text{N}$、運動と逆向き(左向き)

(3) $v = 0$

(4) $Q = 1.25\,\text{J}$

解説

(1) 誘導起電力:$V = v_0 Bl = 5.0 \times 0.80 \times 0.50 = 2.0\,\text{V}$

電流:$I = \dfrac{V}{R} = \dfrac{2.0}{2.0} = 1.0\,\text{A}$

向き:導体棒が右に動くと回路を貫く磁束が増加するので、レンツの法則により磁束の増加を妨げる向き(紙面裏向きの磁場を作る向き)に電流が流れます。

(2) 導体棒に働く力:$F = BIl = 0.80 \times 1.0 \times 0.50 = 0.40\,\text{N}$

レンツの法則から、この力は運動を妨げる向き(左向き)です。

(3) 外力がないため、導体棒は制動力を受け続けて減速します。速度が $0$ に近づくと誘導起電力も $0$ に近づき、力も $0$ に近づきますが、十分時間が経つと $v \to 0$ となります。

(4) エネルギー保存より、導体棒の初期の運動エネルギーがすべてジュール熱に変換されます。

$$Q = \frac{1}{2}mv_0^2 = \frac{1}{2} \times 0.10 \times 5.0^2 = 1.25\,\text{J}$$

摩擦がなく外力もないため、失われた運動エネルギーは全て抵抗でのジュール熱になります。

採点ポイント
  • (1) $V = vBl$ を正しく立式し電流を求める(3点)、向きの判定(2点)
  • (2) $F = BIl$ の計算(2点)、向きの判定(1点)
  • (3) $v \to 0$ の結論(2点)
  • (4) エネルギー保存で $\frac{1}{2}mv_0^2$ と等しいことの説明(3点)、数値計算(2点)
問題 6-8-3 C 応用 自己誘導 導体棒 複合問題

図のように、間隔 $l = 0.40\,\text{m}$ の平行な2本のレールが水平面上に置かれ、一端に自己インダクタンス $L = 0.50\,\text{H}$ のコイルと抵抗 $R = 4.0\,\Omega$ が直列に接続されている。 レールに垂直に載せた導体棒 PQ が、鉛直上向きの一様磁場(磁束密度 $B = 1.0\,\text{T}$)の中で、外力によって一定の速度 $v = 5.0\,\text{m/s}$ で右向きに運動している。 導体棒・レールの抵抗および摩擦は無視する。十分時間が経過して定常状態になっているものとする。

(1) 定常状態で回路に流れる電流の大きさを求めよ。

(2) 定常状態でコイルに生じている逆起電力の大きさを求めよ。

(3) 定常状態で外力がする仕事率(パワー)を求めよ。

(4) 定常状態で突然外力を取り去った直後($t = 0^+$)の導体棒の加速度の大きさを求めよ。ただし導体棒の質量を $m = 0.050\,\text{kg}$ とする。

(5) 外力を取り去った後、十分時間が経過するまでに抵抗 $R$ で消費される全ジュール熱を求めよ。

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解答

(1) $I = 0.50\,\text{A}$

(2) $V_L = 0\,\text{V}$

(3) $P = 1.0\,\text{W}$

(4) $a = 4.0\,\text{m/s}^2$

(5) $Q = 0.6875\,\text{J} \approx 0.69\,\text{J}$

解説

(1) 定常状態では電流が一定なので、$\Delta I / \Delta t = 0$ です。

よってコイルの逆起電力は $V_L = -L \dfrac{\Delta I}{\Delta t} = 0$ となり、コイルは単なる導線と同じです。

導体棒の誘導起電力:$V = vBl = 5.0 \times 1.0 \times 0.40 = 2.0\,\text{V}$

電流:$I = \dfrac{V}{R} = \dfrac{2.0}{4.0} = 0.50\,\text{A}$

(2) 上記の通り、定常状態では $\Delta I / \Delta t = 0$ なので $V_L = 0$。

(3) 等速運動なので、外力の仕事率は制動力と速度の積:

制動力:$F = BIl = 1.0 \times 0.50 \times 0.40 = 0.20\,\text{N}$

仕事率:$P = Fv = 0.20 \times 5.0 = 1.0\,\text{W}$

別解として、抵抗での消費電力 $P = I^2 R = 0.50^2 \times 4.0 = 1.0\,\text{W}$ と一致します。

(4) 外力を取り去った直後($t = 0^+$)では、電流は直前の値 $I = 0.50\,\text{A}$ のままです(コイルがあるため電流は急変しない)。

導体棒に働く力:$F = BIl = 1.0 \times 0.50 \times 0.40 = 0.20\,\text{N}$(運動と逆向き)

加速度:$a = \dfrac{F}{m} = \dfrac{0.20}{0.050} = 4.0\,\text{m/s}^2$(減速方向)

(5) 外力を取り去った後、導体棒は減速して最終的に停止します。

初期状態のエネルギーは、導体棒の運動エネルギーとコイルに蓄えられた磁気エネルギーの合計です。

$$E_{\text{運動}} = \frac{1}{2}mv^2 = \frac{1}{2} \times 0.050 \times 5.0^2 = 0.625\,\text{J}$$

$$E_{\text{コイル}} = \frac{1}{2}LI^2 = \frac{1}{2} \times 0.50 \times 0.50^2 = 0.0625\,\text{J}$$

十分時間が経つと、速度は $0$、電流も $0$ に近づきます。よって、初期の全エネルギーがジュール熱に変換されます。

$$Q = E_{\text{運動}} + E_{\text{コイル}} = 0.625 + 0.0625 = 0.6875\,\text{J} \approx 0.69\,\text{J}$$

採点ポイント
  • (1) 定常状態でコイルが導線と等価であることの説明(2点)、電流の計算(2点)
  • (2) $\Delta I / \Delta t = 0$ の指摘(2点)
  • (3) 仕事率の計算(2点)、消費電力との一致の確認(1点)
  • (4) コイルにより電流が急変しないことの理解(3点)、加速度の計算(2点)
  • (5) 運動エネルギーとコイルの蓄積エネルギーの両方を考慮(3点)、合計ジュール熱の計算(2点)