第1章 運動の表し方

自由落下
─ 重力だけで落ちる運動

手を離した瞬間、ボールは静かに落ち始めます。最初はゆっくり、そしてみるみる速くなっていく。
この「だんだん速くなる落下」こそが自由落下です。 空気抵抗を無視すれば、羽毛もボウリング球も全く同じように落ちる——この事実は、ガリレオが見つけた自然界の驚くべき法則です。
自由落下は、これまで学んできた等加速度直線運動の最も身近で美しい実例です。

1自由落下とは ─ 初速0で落ちる運動

自由落下とは、物体を静かに手放して(初速度 $v_0 = 0$ で)、重力だけを受けて落下する運動のことです。 「自由」という言葉は、空気抵抗や摩擦などの余計な力がない状態——重力だけが「自由に」物体を引っ張っている状態を意味しています。

身近な例を考えてみましょう。あなたが手に持ったスマートフォンをそっと離したとき、スマートフォンは静止状態($v_0 = 0$)から落ち始めます。 最初の 0.1 秒はほとんど動いたように見えませんが、0.5 秒後にはかなりの速度になり、1 秒後には約 $4.9\,\text{m}$(約5 m)も落下しています。 この「最初はゆっくり、でもどんどん加速する」という感覚が自由落下の特徴です。

自由落下の条件

自由落下として扱うためには、次の2つの条件を満たす必要があります。

  • 初速度が0:物体を「静かに」手放す(投げない)
  • 重力以外の力を無視できる:空気抵抗が無視できるほど小さい

現実の世界では空気抵抗が完全にゼロになることはありませんが、重い物体を短い距離だけ落とす場合は、空気抵抗の影響がとても小さいので、自由落下として扱えます。

💡 ここが本質:自由落下 = 等加速度直線運動の特殊ケース

自由落下は、等加速度直線運動の公式で初速度 $v_0 = 0$、加速度 $a = g$ と置いたものにすぎません。

新しい物理法則が登場するわけではなく、すでに学んだ等加速度直線運動を「重力による落下」という具体的な場面に適用しただけです。 この「一般法則の特殊ケース」という見方は、物理の学び方としてとても大切です。

⚠️ 落とし穴:「自由落下」と「落下」を混同する

日常語の「落下」は、投げ下ろしや投げ上げ後の落下も含みます。しかし物理用語の「自由落下」は、初速度 $v_0 = 0$ の落下だけを指します。

✕ 誤:ボールを下向きに投げた → 自由落下

○ 正:ボールを下向きに投げた → 鉛直投げ下ろし(初速度 $v_0 \neq 0$)

問題文に「静かに手を離す」「自然に落下させる」とあれば自由落下($v_0 = 0$)。「$v_0 = 5\,\text{m/s}$ で投げ下ろす」とあれば鉛直投げ下ろしです。

2重力加速度 $g$ ─ 地球が与える加速度

自由落下する物体の加速度を重力加速度といい、記号 $g$ で表します。 地球の表面付近では、

$$g \approx 9.8\,\text{m/s}^2$$

です。これは「1秒ごとに速度が約 $9.8\,\text{m/s}$ ずつ増える」という意味です。 問題文で特に指定がなければ $g = 9.8\,\text{m/s}^2$ を使いますが、計算を簡単にするために $g = 9.8$ の代わりに $g = 10\,\text{m/s}^2$ と近似することもよくあります。

$g$ の大きさを実感する

$g = 9.8\,\text{m/s}^2$ という数値を「すごい」と感じるでしょうか。実感を持つために、自由落下する物体の速度を時間ごとに見てみましょう。

経過時間 $t\,[\text{s}]$ 速度 $v\,[\text{m/s}]$ 時速換算 落下距離 $y\,[\text{m}]$
$0$ $0$ $0\,\text{km/h}$ $0$
$1$ $9.8$ 約 $35\,\text{km/h}$ $4.9$
$2$ $19.6$ 約 $71\,\text{km/h}$ $19.6$
$3$ $29.4$ 約 $106\,\text{km/h}$ $44.1$
$5$ $49.0$ 約 $176\,\text{km/h}$ $122.5$

たった3秒で時速100 km を超えます。5秒では高速道路の制限速度をはるかに超える時速176 km。 もし空気抵抗がなければ、落下速度はどこまでも増え続けるのです。

💡 ここが本質:$g$ は「場所の性質」であり「物体の性質」ではない

重力加速度 $g$ は地球(あるいは天体)が決める値であり、落下する物体の質量や形状には依存しません。

鉄球でも木の球でも、空気抵抗を無視すれば同じ加速度 $g$ で落下します。 これがガリレオの大発見であり、自由落下の最も重要な性質です。

🔬 深掘り:$g$ の値は場所によって変わる

$g = 9.8\,\text{m/s}^2$ は地球表面の平均的な値です。実際には場所によってわずかに異なります。

赤道付近では $g \approx 9.78\,\text{m/s}^2$、北極や南極付近では $g \approx 9.83\,\text{m/s}^2$ です。 これは地球の自転による遠心力と、地球が完全な球ではなく赤道方向にやや膨らんだ楕円体であることが原因です。

月面では $g_{\text{月}} \approx 1.6\,\text{m/s}^2$(地球の約 $\dfrac{1}{6}$)、木星の表面では $g_{\text{木星}} \approx 25\,\text{m/s}^2$(地球の約2.5倍)です。

⚠️ 落とし穴:$g$ に「マイナス」をつけるかどうか

$g = 9.8\,\text{m/s}^2$ は正の値です。$g$ 自体には符号はありません(加速度の「大きさ」)。

✕ 誤:$g = -9.8\,\text{m/s}^2$($g$ にマイナスを含める)

○ 正:$g = 9.8\,\text{m/s}^2$(正の値)。加速度を $a = -g$ とするかどうかは、座標軸の正の向きによる

下向きを正に取れば加速度は $+g$、上向きを正に取れば加速度は $-g$ です。符号は座標系の取り方で変わりますが、$g$ そのものは常に正です。

3自由落下の3公式 ─ 等加速度運動からの導出

自由落下は等加速度直線運動の特殊ケース($v_0 = 0$、$a = g$)です。 したがって、等加速度直線運動の3公式に $v_0 = 0$、$a = g$ を代入するだけで、自由落下の公式が得られます。 ここでは下向きを正に取ります。

▷ 等加速度運動の公式 → 自由落下の公式

等加速度直線運動の3公式は、

$$v = v_0 + at \quad \cdots (1)$$

$$x = v_0 t + \frac{1}{2}at^2 \quad \cdots (2)$$

$$v^2 - v_0^2 = 2ax \quad \cdots (3)$$

これに $v_0 = 0$、$a = g$、変位を $y$(鉛直方向)と書き直すと、

$$(1) \Rightarrow v = gt$$

$$(2) \Rightarrow y = \frac{1}{2}gt^2$$

$$(3) \Rightarrow v^2 = 2gy$$

これが自由落下の3公式です。新しい物理はなく、代入しただけです。

📐 自由落下の3公式(下向き正)

$$v = gt \quad \cdots \text{①}$$

$$y = \frac{1}{2}gt^2 \quad \cdots \text{②}$$

$$v^2 = 2gy \quad \cdots \text{③}$$

※ $v$:時刻 $t$ での速度 [m/s]、$y$:落下距離 [m]、$g$:重力加速度 [$\text{m/s}^2$]($\approx 9.8$)
※ 下向きを正の向きに取っている。上向きを正にすると符号が変わるので注意

3つの公式の使い分け

公式が3つあるのは、それぞれ含まれる変数が異なるためです。 問題文で何が与えられ、何を求めるかによって使う公式を選びます。

公式 含まれる変数 含まれない変数 使う場面
$v = gt$ $v, g, t$ $y$ 時間 → 速度を求める
$y = \frac{1}{2}gt^2$ $y, g, t$ $v$ 時間 → 落下距離を求める
$v^2 = 2gy$ $v, g, y$ $t$ 時間を使わずに速度と距離を結ぶ
💡 ここが本質:$v^2 = 2gy$ は「時間を消した公式」

3番目の公式 $v^2 = 2gy$ は、①と②から $t$ を消去した式です。「何メートル落ちたら、速度は何 m/s になるか」を直接結びつけます。

たとえば「高さ 20 m のビルから落とした物体が地面に着くときの速度は?」という問題では、時間を求める必要がなく、③を使えば一発で答えが出ます。

⚠️ 落とし穴:座標軸の向きを忘れて符号を間違える

自由落下の公式は「下向きを正」にとった場合のものです。もし上向きを正に取ると、重力加速度は負の向きになり、加速度は $a = -g$ です。

✕ 誤:上向き正で $y = \frac{1}{2}gt^2$(これだと物体が上に飛んでいくことに)

○ 正:上向き正で $y = -\frac{1}{2}gt^2$(落下距離は負の値=下向き)

問題を解くときは、最初に座標軸の正の向きを決め、図に矢印で明記する習慣をつけましょう。

4ガリレオの発見 ─ 質量によらない落下

「重いものほど速く落ちる」——これは古代ギリシャのアリストテレスが約2000年にわたり信じられてきた常識でした。 鉄球と羽毛を同時に落とせば、鉄球のほうが先に地面に着く。これは日常の経験とも一致するため、誰も疑いませんでした。

しかし、16世紀のイタリアの物理学者ガリレオ・ガリレイは、この常識に異を唱えました。 ガリレオは「重いものが速く落ちるなら、重い物体と軽い物体を紐で結んだらどうなるか」という思考実験で矛盾を見つけ、 空気抵抗がなければ、すべての物体は質量によらず同じ加速度で落下することを示しました。

ガリレオの思考実験

重い石 A と軽い石 B を紐でつないで落とす場合を考えます。「重いほど速く落ちる」という仮説が正しいとすると、

  • B は A より遅いので、紐で引っ張られて A の「足手まとい」になる → A+B は A 単体より遅く落ちるはず
  • 一方、A+B を「1つの物体」と見れば、A 単体より重い → A 単体より速く落ちるはず

同じ状況なのに「遅くなる」と「速くなる」の両方が導かれてしまいます。 この矛盾を解消する唯一の答えが、「質量に関係なく、すべての物体は同じ速さで落ちる」というものです。

🔬 深掘り:アポロ15号の実験

1971年、アポロ15号の宇宙飛行士デイビッド・スコットは月面でハンマーと羽毛を同時に落とす実験を行いました。 月にはほとんど空気がないため、2つの物体は見事に同時に着地しました。

これはガリレオの予言が正しかったことを、目に見える形で実証した歴史的瞬間です。 地球上では空気抵抗があるために羽毛はゆっくり落ちますが、真空中では鉄球と同じ速さで落下するのです。

💡 ここが本質:なぜ質量によらないのか

質量が大きいほど重力(落とそうとする力)は強くなりますが、同時に慣性(動かしにくさ)も大きくなります。

ニュートンの運動方程式 $ma = mg$ で考えると、両辺の $m$ が消えて $a = g$ となります。 重力を大きくする効果と動きにくくする効果がぴったり相殺するため、加速度は質量に依存しないのです。

⚠️ 落とし穴:「現実では重いものが先に落ちる」からといって物理が間違いではない

日常生活で紙と石を同時に落とせば、石が先に着地します。しかしこれは自由落下の法則が間違っているのではなく、空気抵抗が紙には大きく効いているためです。

✕ 誤:現実では重いほうが速く落ちるから、$g$ は物体によって異なる

○ 正:$g$ はすべての物体で同じ。現実の落下速度の差は空気抵抗が原因

紙をくしゃくしゃに丸めて石と同時に落とすと、ほぼ同時に着地します。空気抵抗が減った分、自由落下に近づくからです。

5自由落下のv-tグラフとy-tグラフ

自由落下の運動をグラフで見ると、前の記事(M-1-6)で学んだv-tグラフの読み方がそのまま活きてきます。

v-tグラフ:原点を通る直線

自由落下の速度は $v = gt$ なので、v-tグラフは原点を通り、傾き $g$ の直線です。 $t = 0$ で $v = 0$(静止状態から始まる)で、時間とともに速度が一定の割合で増加していきます。

このグラフの傾きが重力加速度 $g$ そのものです。 また、v-tグラフと時間軸で囲まれた面積が落下距離に等しいことも、前回学んだ通りです。 三角形の面積として $y = \frac{1}{2} \times t \times gt = \frac{1}{2}gt^2$ が得られ、公式②と一致します。

y-tグラフ:放物線

落下距離は $y = \frac{1}{2}gt^2$ ですから、y-tグラフは原点を通る放物線(下に凸の2次関数)になります。 時間が経つほど曲線が急になる——つまり、同じ1秒でも後になるほど落下距離が大きくなることがグラフの形からも読み取れます。

具体的に見てみましょう($g = 9.8\,\text{m/s}^2$)。

  • 最初の1秒で $4.9\,\text{m}$ 落下
  • 次の1秒で $14.7\,\text{m}$ 落下(合計 $19.6\,\text{m}$)
  • さらに次の1秒で $24.5\,\text{m}$ 落下(合計 $44.1\,\text{m}$)

1秒ごとの落下距離が $4.9$、$14.7$、$24.5\,\text{m}$ と増えていきます。 これは等加速度運動の性質で、連続する等しい時間間隔での変位の差が一定($= g \times (\Delta t)^2 = 9.8\,\text{m}$)であることとも整合します。

▷ 連続する1秒間の落下距離の差

$n$ 秒目から $(n+1)$ 秒目までの落下距離は、

$$\Delta y_n = y(n+1) - y(n) = \frac{1}{2}g(n+1)^2 - \frac{1}{2}gn^2 = \frac{1}{2}g(2n+1)$$

$\Delta y_n$ と $\Delta y_{n-1}$ の差は、

$$\Delta y_n - \Delta y_{n-1} = \frac{1}{2}g(2n+1) - \frac{1}{2}g(2n-1) = g$$

つまり、連続する1秒間の落下距離の差は常に $g\,(\approx 9.8\,\text{m})$ です。これは等加速度運動の一般的な性質です。

🔬 深掘り:ストロボ写真で見る自由落下

自由落下する物体をストロボ(一定間隔で光るフラッシュ)を使って撮影すると、物体の像の間隔が下にいくほど広くなります。 これは等時間間隔ごとの落下距離が増加していくことの視覚的な証拠です。

像の間隔の差が一定であることから、加速度が一定(等加速度運動)であることも読み取れます。 ストロボ写真の分析は、実験の定期テスト問題として頻出です。

⚠️ 落とし穴:v-tグラフとy-tグラフの形を混同する

自由落下のグラフは2種類あり、形が全く異なります。

✕ 誤:自由落下のv-tグラフは放物線

○ 正:v-tグラフは直線($v = gt$)。放物線になるのはy-tグラフ($y = \frac{1}{2}gt^2$)

「速度が一定の割合で増える → v-tグラフは直線」「距離が加速的に増える → y-tグラフは放物線」と整理しましょう。

6この章を俯瞰する

自由落下は力学の中でも最も基本的な運動の一つです。 ここで学んだ「重力加速度 $g$」と「初速0の等加速度運動」がどのように発展していくかを見てみましょう。

つながりマップ

  • ← M-1-5 等加速度直線運動の3公式:自由落下の公式は、3公式に $v_0 = 0$、$a = g$ を代入したもの。
  • ← M-1-6 v-tグラフの読み方:自由落下のv-tグラフは原点を通る傾き $g$ の直線。面積が落下距離に等しい。
  • → M-1-8 鉛直投げ上げ:初速 $v_0 > 0$ で上向きに投げる運動。自由落下の「逆再生」として理解できる。
  • → 第2章 力のつりあい・第3章 運動の法則:なぜ $a = g$(質量によらない)のかを、ニュートンの運動方程式 $F = ma$ と万有引力から説明する。
  • → 第5章 放物運動:水平方向に投げた場合、鉛直方向は自由落下と同じ。2次元運動の出発点。

📋まとめ

  • 自由落下は、初速度 $v_0 = 0$ で重力だけを受けて落下する運動。等加速度直線運動の特殊ケース
  • 重力加速度 $g \approx 9.8\,\text{m/s}^2$ は物体の質量によらない一定値。場所(天体)によって異なる
  • 自由落下の3公式:$v = gt$、$y = \dfrac{1}{2}gt^2$、$v^2 = 2gy$(下向き正の場合)
  • ガリレオの発見:空気抵抗を無視すれば、質量によらずすべての物体は同じ加速度 $g$ で落下する
  • v-tグラフは原点を通る傾き $g$ の直線、y-tグラフは原点を通る放物線
  • 座標軸の正の向き(上向き正か下向き正か)を最初に決め、符号を一貫させることが問題を解くカギ

確認テスト

Q1. 自由落下の「自由」とはどのような意味ですか。

▶ クリックして解答を表示空気抵抗や摩擦などを受けず、重力だけが「自由に」物体を加速させている状態を意味します。初速度 $v_0 = 0$ で重力のみが働く落下運動です。

Q2. 重力加速度 $g$ の大きさは落下する物体の質量によって変わりますか。

▶ クリックして解答を表示変わりません。$g \approx 9.8\,\text{m/s}^2$ は物体の質量に依存せず、すべての物体に共通の値です。これはガリレオが発見した重要な事実です。

Q3. 自由落下で 2.0 秒後の速度と落下距離を求めなさい($g = 9.8\,\text{m/s}^2$)。

▶ クリックして解答を表示速度:$v = gt = 9.8 \times 2.0 = 19.6\,\text{m/s}$。落下距離:$y = \frac{1}{2}gt^2 = \frac{1}{2} \times 9.8 \times 2.0^2 = 19.6\,\text{m}$。

Q4. 自由落下のv-tグラフはどのような形をしていますか。また、その傾きは何を表しますか。

▶ クリックして解答を表示原点を通る右上がりの直線です。傾きは重力加速度 $g$ を表します。

Q5. 高さ 44.1 m のビルの屋上から物体を静かに落としたとき、地面に達するまでの時間を求めなさい($g = 9.8\,\text{m/s}^2$)。

▶ クリックして解答を表示$y = \frac{1}{2}gt^2$ より $44.1 = \frac{1}{2} \times 9.8 \times t^2$。$t^2 = \frac{44.1}{4.9} = 9.0$。$t = 3.0\,\text{s}$。

9入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

1-7-1 A 基礎 自由落下 計算

高さ $19.6\,\text{m}$ のビルの屋上から、小球を静かに落とした。重力加速度を $g = 9.8\,\text{m/s}^2$ とし、空気抵抗は無視する。次の問いに答えよ。

(1) 小球が地面に達するまでの時間を求めよ。

(2) 地面に達する直前の小球の速さを求めよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $2.0\,\text{s}$

(2) $19.6\,\text{m/s}$

解説

方針:自由落下なので $v_0 = 0$。下向きを正に取る。

(1) $y = \dfrac{1}{2}gt^2$ より、$19.6 = \dfrac{1}{2} \times 9.8 \times t^2$

$t^2 = \dfrac{19.6}{4.9} = 4.0$ → $t = 2.0\,\text{s}$

(2) $v = gt = 9.8 \times 2.0 = 19.6\,\text{m/s}$

別解:$v^2 = 2gy = 2 \times 9.8 \times 19.6 = 384.16$ → $v = 19.6\,\text{m/s}$

採点ポイント
  • 自由落下($v_0 = 0$)であることを正しく認識する(1点)
  • 正しい公式を選択し、代入できる(各2点)
  • 最終的な答えが正しい(各1点)

B 発展レベル

1-7-2 B 発展 2物体の落下 計算

地上 $78.4\,\text{m}$ の高さから小球 A を静かに落とした。A を落としてから $1.0\,\text{s}$ 後に、同じ高さから小球 B を静かに落とした。重力加速度を $g = 9.8\,\text{m/s}^2$ とし、空気抵抗は無視する。次の問いに答えよ。

(1) 小球 A が地面に達するまでの時間を求めよ。

(2) 小球 A が地面に達した瞬間、小球 B は地面から何 m の高さにあるか。

(3) 小球 A が地面に達した瞬間の、A と B の速度の差を求めよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $4.0\,\text{s}$

(2) $34.3\,\text{m}$

(3) $9.8\,\text{m/s}$

解説

方針:A を落とした瞬間を $t = 0$ とする。B は $t = 1.0\,\text{s}$ から落下を開始。

(1) A について $y_A = \dfrac{1}{2}gt^2$ で $y_A = 78.4\,\text{m}$ を代入。

$78.4 = \dfrac{1}{2} \times 9.8 \times t^2$ → $t^2 = 16.0$ → $t = 4.0\,\text{s}$

(2) $t = 4.0\,\text{s}$ のとき、B は落下開始から $4.0 - 1.0 = 3.0\,\text{s}$ 経過。

B の落下距離:$y_B = \dfrac{1}{2} \times 9.8 \times 3.0^2 = 44.1\,\text{m}$

地面からの高さ:$78.4 - 44.1 = 34.3\,\text{m}$

(3) A の速度:$v_A = g \times 4.0 = 39.2\,\text{m/s}$

B の速度:$v_B = g \times 3.0 = 29.4\,\text{m/s}$

速度の差:$v_A - v_B = 39.2 - 29.4 = 9.8\,\text{m/s}$

(補足:自由落下では $v = gt$ なので、時間差 $\Delta t$ だけ遅れて落下を始めた2物体の速度差は常に $g \Delta t$ で一定です。)

採点ポイント
  • A の落下時間を正しく求める(2点)
  • B の経過時間が $3.0\,\text{s}$ であることを正しく把握する(2点)
  • B の落下距離を求め、地面からの高さを計算する(3点)
  • A と B の速度をそれぞれ求め、差を計算する(3点)

C 応用レベル

1-7-3 C 応用 落下と音 論述

深い井戸の上端から小石を静かに落としたところ、手を離してから $3.0\,\text{s}$ 後に水面に衝突する音が聞こえた。音速を $V = 340\,\text{m/s}$、重力加速度を $g = 9.8\,\text{m/s}^2$ とし、空気抵抗は無視する。次の問いに答えよ。

(1) 井戸の深さを $h\,[\text{m}]$ とする。小石が水面に達するまでの時間 $t_1$ と、音が井戸の上端に届くまでの時間 $t_2$ を、$h$ を用いて表せ。

(2) $t_1 + t_2 = 3.0$ の条件を用いて、井戸の深さ $h$ を求めよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $t_1 = \sqrt{\dfrac{2h}{g}}$、$t_2 = \dfrac{h}{V}$

(2) $h \approx 40\,\text{m}$

解説

方針:小石の落下時間と音の伝播時間を分けて考え、合計が $3.0\,\text{s}$ となる条件を立てる。

(1) 小石の落下(自由落下):$h = \dfrac{1}{2}gt_1^2$ → $t_1 = \sqrt{\dfrac{2h}{g}}$

音の伝播(等速):$h = V t_2$ → $t_2 = \dfrac{h}{V}$

(2) 条件:$t_1 + t_2 = 3.0$ すなわち

$$\sqrt{\frac{2h}{g}} + \frac{h}{V} = 3.0$$

$\sqrt{\dfrac{2h}{g}} = T$ と置くと $h = \dfrac{1}{2}gT^2$ なので、

$$T + \frac{gT^2}{2V} = 3.0$$

$g = 9.8$、$V = 340$ を代入すると、

$$T + \frac{9.8}{680}T^2 = 3.0 \quad \Rightarrow \quad 0.01441\,T^2 + T - 3.0 = 0$$

2次方程式の解の公式より、

$$T = \frac{-1 + \sqrt{1 + 4 \times 0.01441 \times 3.0}}{2 \times 0.01441} = \frac{-1 + \sqrt{1.1729}}{0.02882}$$

$$T = \frac{-1 + 1.0830}{0.02882} \approx 2.88\,\text{s}$$

$$h = \frac{1}{2} \times 9.8 \times 2.88^2 \approx 40.6\,\text{m} \approx 40\,\text{m}$$

(検算:$t_1 \approx 2.88\,\text{s}$、$t_2 = \dfrac{40.6}{340} \approx 0.12\,\text{s}$、$t_1 + t_2 \approx 3.0\,\text{s}$ ✓)

採点ポイント
  • 落下時間と音の伝播時間を分けて立式する(3点)
  • $t_1$、$t_2$ を $h$ で正しく表す(各2点)
  • $t_1 + t_2 = 3.0$ の方程式を正しく立てる(2点)
  • 2次方程式を解いて $h$ を求める(3点)