一端が閉じた閉管では、閉じた端が変位の節、開いた端が変位の腹になります。
この非対称な境界条件のために、閉管では奇数倍の倍音しか共鳴しません。
開管との違いを明確に理解することが、気柱の問題を解く鍵です。
閉管とは、一方の端が閉じられ、もう一方の端が開いた管のことです。試験管のような形状をイメージしてください。
閉端(閉じた端):空気が動けないため、変位の節(圧力の腹)が生じます。これは弦の固定端反射と同じ考え方です。
開端(開いた端):空気が自由に振動できるため、変位の腹(圧力の節)が生じます。これは弦の自由端反射と同じ考え方です。
閉管では閉端=節、開端=腹という非対称な境界条件をもつ。この非対称性が、閉管特有の「奇数倍音のみ」という倍音構成を生む根本原因である。
開管は両端が同じ条件(腹─腹)でしたが、閉管は片方が節で片方が腹です。この非対称性が閉管の最大の特徴です。
定常波において、隣り合う節と腹の間隔は $\dfrac{\lambda}{4}$ です。閉管の最も単純な定常波は、管全体が1つの「節─腹」区間だけを含む場合です。
管の長さ $L$ の中に、節─腹の区間が奇数個の $\dfrac{\lambda}{4}$ として入る必要があります:
$$L = (2m - 1) \cdot \frac{\lambda}{4} \quad (m = 1, 2, 3, \ldots)$$ここで $2m - 1$ は奇数(1, 3, 5, ...)を表します。
$$L = \frac{(2m-1)\lambda}{4} \quad (m = 1, 2, 3, \ldots)$$
$L$:管の長さ、$\lambda$:波長、$m$:正の整数
| $m$ | 奇数倍 $2m{-}1$ | 管内の定常波 | 波長 $\lambda_m$ |
|---|---|---|---|
| 1(基本振動) | 1 | 節─腹 | $4L$ |
| 2(第3倍振動) | 3 | 節─腹─節─腹 | $\dfrac{4L}{3}$ |
| 3(第5倍振動) | 5 | 節─腹─節─腹─節─腹 | $\dfrac{4L}{5}$ |
| $m$ | $2m{-}1$ | ─ | $\dfrac{4L}{2m-1}$ |
誤:閉管の第2倍音 → 基本振動数の2倍の振動数
正:閉管には基本振動数の偶数倍にあたる共鳴は存在しない。基本振動の次は「第3倍振動」(第3倍音)。
「$m = 2$ → 第2倍音」と混同しないこと。$m = 2$ は第3倍音($2m - 1 = 3$)です。
閉端が節、開端が腹。節と腹の間隔は $\dfrac{\lambda}{4}$。
管の長さ $L$ に入る $\dfrac{\lambda}{4}$ の数は奇数でなければ、両端の境界条件(閉端=節、開端=腹)を同時に満たせない。
偶数個の $\dfrac{\lambda}{4}$ だと、閉端が節のとき開端も節になってしまい、開端が腹であるという条件に反する。
$L = \dfrac{(2m-1)\lambda_m}{4}$ から波長を求めると:
$$\lambda_m = \frac{4L}{2m-1}$$$v = f\lambda$ より振動数に変換します。
$$f_m = \frac{(2m-1)v}{4L} \quad (m = 1, 2, 3, \ldots)$$
$v$:音速、$L$:管の長さ。基本振動数 $f_1 = \dfrac{v}{4L}$ の奇数倍のみ。
$m = 1$ のとき、基本振動数(第1倍音)は:
$$f_1 = \frac{v}{4L}$$これを使うと $f_m = (2m-1)f_1$ と書けます。$m = 1, 2, 3, \ldots$ に対して $f_1, 3f_1, 5f_1, \ldots$ となります。
閉管では基本振動数 $f_1 = \dfrac{v}{4L}$ の奇数倍(1倍、3倍、5倍、…)の振動数でのみ共鳴する。偶数倍の振動数では定常波が形成されない。
閉管の開口端は1か所だけなので、補正は $\Delta$ のみ(開管の $2\Delta$ と異なる)。
$$L + \Delta = \frac{(2m-1)\lambda}{4} \quad (m = 1, 2, 3, \ldots)$$
$\Delta$:開口端補正。閉管は開口端が1か所なので補正は $\Delta$(開管は $2\Delta$)。
管の長さ $L = 0.25\,\text{m}$、音速 $v = 340\,\text{m/s}$ のとき(補正なし):
第2倍音($680\,\text{Hz}$)や第4倍音($1360\,\text{Hz}$)は存在しません。
入試では開管と閉管の比較が頻出です。両者の違いを整理しましょう。
| 開管 | 閉管 | |
|---|---|---|
| 境界条件 | 両端:腹 | 閉端:節、開端:腹 |
| 共鳴条件 | $L = \dfrac{n\lambda}{2}$ | $L = \dfrac{(2m-1)\lambda}{4}$ |
| 基本振動数 | $f_1 = \dfrac{v}{2L}$ | $f_1 = \dfrac{v}{4L}$ |
| 倍音構成 | 全整数倍 | 奇数倍のみ |
| 基本振動の波長 | $2L$ | $4L$ |
| 開口端補正 | $2\Delta$(2か所) | $\Delta$(1か所) |
同じ長さ $L$ の管を比較すると、閉管の基本振動数 $\dfrac{v}{4L}$ は開管の基本振動数 $\dfrac{v}{2L}$ の半分です。
つまり、閉管は同じ長さで開管より1オクターブ低い音を出せます。クラリネット(閉管に近い)がフルート(開管に近い)より低い音を出せる理由の一つです。
「ある振動数で共鳴した。次に共鳴する振動数は?」という問いに注意。
誤:開管・閉管の区別なく「$f$ の次は $2f$」
正:開管 → $f$ の次は $f + f_1$($f_1$ 間隔で等間隔に並ぶ)。閉管 → $f$ の次は $f + 2f_1$($2f_1$ 間隔で並ぶ)。
「同じ長さの開管と閉管がある。開管の第 $n$ 倍音と閉管の第 $(2m-1)$ 倍音が一致する条件は?」という問いでは、$\dfrac{nv}{2L} = \dfrac{(2m-1)v}{4L}$ を解いて $n = \dfrac{2m-1}{2}$。$n$ が整数になる条件から解を求めます。
閉管の共鳴の位置づけを確認しましょう。
Q1. 閉管における閉端と開端の変位の状態を答えよ。
Q2. 閉管で基本振動の次に共鳴するのは何倍振動か。
Q3. 同じ長さの開管と閉管では、どちらの基本振動数が高いか。
Q4. 閉管の開口端補正はなぜ $\Delta$ であり $2\Delta$ ではないのか。
長さ $0.25\,\text{m}$ の閉管がある。音速を $340\,\text{m/s}$ として、次の問いに答えよ。開口端補正は無視してよい。
(1) 基本振動の波長と振動数を求めよ。
(2) 基本振動の次に共鳴する振動数を求めよ。
(1) $\lambda_1 = 4L = 4 \times 0.25 = 1.0\,\text{m}$、$f_1 = \dfrac{340}{1.0} = 340\,\text{Hz}$
(2) $f_3 = 3f_1 = 3 \times 340 = 1020\,\text{Hz}$
閉管の基本振動:$L = \dfrac{\lambda}{4}$ → $\lambda_1 = 4L = 1.0\,\text{m}$。
$f_1 = \dfrac{v}{\lambda_1} = \dfrac{340}{1.0} = 340\,\text{Hz}$。
閉管は奇数倍のみ共鳴するため、次は第3倍音 $f = 3f_1 = 1020\,\text{Hz}$。第2倍音は存在しません。
閉管の中で第5倍振動の定常波ができている。管の長さが $L = 0.85\,\text{m}$ のとき、この定常波の波長を求めよ。開口端補正は無視してよい。
$\lambda = 0.68\,\text{m}$
第5倍振動は $2m - 1 = 5$ → $m = 3$。
$L = \dfrac{5\lambda}{4}$ → $\lambda = \dfrac{4L}{5} = \dfrac{4 \times 0.85}{5} = 0.68\,\text{m}$。
長さ $0.50\,\text{m}$ の閉管がある。音速 $v = 340\,\text{m/s}$ のとき、この閉管で共鳴する振動数のうち、$1000\,\text{Hz}$ 以下のものをすべて求めよ。開口端補正は無視してよい。
$170\,\text{Hz}$、$510\,\text{Hz}$、$850\,\text{Hz}$(3つ)
$f_1 = \dfrac{v}{4L} = \dfrac{340}{4 \times 0.50} = 170\,\text{Hz}$
共鳴する振動数:$(2m-1) \times 170\,\text{Hz}$
$m = 1$:$1 \times 170 = 170\,\text{Hz}$ ✓
$m = 2$:$3 \times 170 = 510\,\text{Hz}$ ✓
$m = 3$:$5 \times 170 = 850\,\text{Hz}$ ✓
$m = 4$:$7 \times 170 = 1190\,\text{Hz}$ ✗($1000\,\text{Hz}$ を超える)
長さ $L$ の開管と長さ $L'$ の閉管がある。開管の基本振動数と閉管の基本振動数が等しくなるとき、$L'$ を $L$ で表せ。また、この条件下で開管の第2倍音の振動数と閉管の第3倍音の振動数を比較せよ。
$L' = \dfrac{L}{2}$。開管の第2倍音と閉管の第3倍音は等しい。
基本振動数が等しい:$\dfrac{v}{2L} = \dfrac{v}{4L'}$ → $4L' = 2L$ → $L' = \dfrac{L}{2}$。
共通の基本振動数を $f_1$ とすると:
開管の第2倍音:$2f_1$
閉管の第3倍音:$3f_1$
$2f_1 \neq 3f_1$ なので一致しません。
(修正:問いは「比較」なので)開管の第2倍音は $2f_1$、閉管の第3倍音は $3f_1$ で、閉管の第3倍音の方が大きい。$3f_1 / 2f_1 = 3/2$ 倍です。
閉管を用いた共鳴実験を行い、基本振動で共鳴する管の長さが $L_1 = 0.24\,\text{m}$、第3倍振動で共鳴する管の長さが $L_3 = 0.76\,\text{m}$ であった。音さの振動数は $340\,\text{Hz}$ である。次の問いに答えよ。
(1) この音の波長 $\lambda$ を求めよ。
(2) 開口端補正 $\Delta$ を求めよ。
(3) 音速を求めよ。
(1) $\lambda = 1.04\,\text{m}$
(2) $\Delta = 0.02\,\text{m}$
(3) $v = 353.6\,\text{m/s}$
基本振動:$L_1 + \Delta = \dfrac{\lambda}{4}$ … ①
第3倍振動:$L_3 + \Delta = \dfrac{3\lambda}{4}$ … ②
(1) ② − ① より:$L_3 - L_1 = \dfrac{3\lambda}{4} - \dfrac{\lambda}{4} = \dfrac{\lambda}{2}$
$\lambda = 2(L_3 - L_1) = 2(0.76 - 0.24) = 2 \times 0.52 = 1.04\,\text{m}$
(2) ①に代入:$\Delta = \dfrac{\lambda}{4} - L_1 = \dfrac{1.04}{4} - 0.24 = 0.26 - 0.24 = 0.02\,\text{m}$
(3) $v = f\lambda = 340 \times 1.04 = 353.6\,\text{m/s}$
同じ長さ $L$ の開管と閉管がある。以下の問いに答えよ。ただし音速は $v$、開口端補正は無視してよい。
(1) 開管の共鳴振動数を $f_n^{\text{開}}$、閉管の共鳴振動数を $f_m^{\text{閉}}$ として、それぞれ一般式で表せ。
(2) 開管の第 $n$ 倍音と閉管のある倍音が一致する条件を求め、一致する倍音の組み合わせをいくつか示せ。
(3) 開管の倍音には存在するが閉管の倍音には存在しない振動数の特徴を述べよ。
(1) $f_n^{\text{開}} = \dfrac{nv}{2L}$($n = 1, 2, 3, \ldots$)、$f_m^{\text{閉}} = \dfrac{(2m-1)v}{4L}$($m = 1, 2, 3, \ldots$)
(2) $n$ が奇数のとき一致する。$n = 1 \to$ 閉管の基本音、$n = 3 \to$ 閉管の第3倍音、$n = 5 \to$ 閉管の第5倍音、…
(3) 開管の偶数倍音($n = 2, 4, 6, \ldots$)は閉管の倍音に存在しない。
(1) 開管:$f_n = \dfrac{nv}{2L}$。閉管:$f_m = \dfrac{(2m-1)v}{4L}$。
(2) 一致する条件:$\dfrac{nv}{2L} = \dfrac{(2m-1)v}{4L}$ → $2n = 2m - 1$ → $n = \dfrac{2m-1}{2}$。
$n$ が整数になるのは $2m - 1$ が偶数のとき…ですが、$2m-1$ は常に奇数なので、実は $n$ は半整数になります。
別のアプローチ:開管の振動数 $\dfrac{nv}{2L}$ を閉管の基本振動数 $\dfrac{v}{4L}$ の倍数で表すと $\dfrac{nv}{2L} = 2n \cdot \dfrac{v}{4L}$。よって開管の第 $n$ 倍音は閉管の基本振動数の $2n$ 倍。$2n$ が奇数のとき閉管でも共鳴するが、$2n$ は常に偶数なので…
実は正しくは:開管の基本振動数 $= \dfrac{v}{2L}$、閉管の基本振動数 $= \dfrac{v}{4L}$。開管の基本振動数は閉管の2倍。開管の $n$ 倍音 $= \dfrac{nv}{2L}$ は閉管の基本振動数の $2n$ 倍に相当。$2n$ が奇数(つまり $n$ が半整数)にはならないので、開管の倍音のうち $n$ が奇数のもの($2n$ が偶数で不可…)
整理:閉管の倍音 $= \dfrac{v}{4L}, \dfrac{3v}{4L}, \dfrac{5v}{4L}, \ldots$。開管の倍音 $= \dfrac{v}{2L}, \dfrac{2v}{2L}, \dfrac{3v}{2L}, \ldots = \dfrac{2v}{4L}, \dfrac{4v}{4L}, \dfrac{6v}{4L}, \ldots$。共通するのは両方に含まれるもの。閉管は $\dfrac{v}{4L}$ の奇数倍、開管は $\dfrac{v}{4L}$ の偶数倍。両者に共通はありません。
(3)したがって開管の倍音はすべて($\dfrac{v}{4L}$ の偶数倍)閉管の倍音($\dfrac{v}{4L}$ の奇数倍)には含まれません。