第17章 波の伝わり方

正弦波の式
─ $y = A\sin(\omega t - kx)$

水面にポンと石を投げ入れたとき、波紋が同心円状に広がっていきます。 この美しい現象を数式で捉えるとしたら、どのような「ことば」を使えばよいのでしょうか。
答えは正弦関数 ── sin です。波の形を一つの式で余すところなく表現する $y = A\sin(\omega t - kx)$ は、 波動を学ぶうえで最も重要な道具です。
この記事では、式に含まれるすべてのパラメータの物理的意味を丁寧に解き明かしていきます。

1波の「姿」を数式にする ─ なぜsinが使われるのか

波には実にさまざまな形がありますが、物理で最も基本的なのは正弦波(サインウェーブ)です。 なぜなら、フーリエ解析という数学の手法によれば、どんな複雑な波形も正弦波の重ね合わせで表現できるからです。 つまり正弦波は、波の世界における「アルファベット」のような存在です。

正弦波とは、sin関数の形で振動する波のことです。 身近な例として、ギターの弦をはじいたとき、きれいな音(倍音が少ない場合)はほぼ正弦波です。 また、音叉を叩いたときの音は、ほぼ純粋な正弦波になります。

波を数式で表すということは、任意の時刻 $t$、任意の位置 $x$ における媒質の変位 $y$ を1つの式で書くことです。 これを実現するのが、正弦波の式です。

💡 ここが本質:波の式は「すべての情報」を持っている

$y = A\sin(\omega t - kx)$ という1つの式から、振幅、周期、波長、速さ、任意の場所と時刻での変位 ── 波に関するあらゆる情報を引き出すことができます。

波の式を「覚える」のではなく、式の中に何が詰まっているかを「読む」ことが大切です。

波を表す式の基本形

原点($x = 0$)にある媒質が単振動をしているとしましょう。 その変位は $y = A\sin\omega t$ と書けます($A$ は振幅、$\omega$ は角振動数)。

この振動が $x$ 軸の正の方向に速さ $v$ で伝わるとき、位置 $x$ にいる媒質は、原点から波が届くまでに $\dfrac{x}{v}$ だけ時間が遅れます。 したがって、位置 $x$、時刻 $t$ における変位は、原点での $\dfrac{x}{v}$ だけ前の時刻の変位と同じです。

▷ 正弦波の式の導出

原点の変位:$y(0, t) = A\sin\omega t$

位置 $x$ には、原点から時間 $\dfrac{x}{v}$ 遅れて同じ振動が届くので、

$$y(x, t) = A\sin\omega\!\left(t - \frac{x}{v}\right)$$

ここで $\omega = \dfrac{2\pi}{T}$、$v = \dfrac{\lambda}{T}$ より $\dfrac{\omega}{v} = \dfrac{2\pi}{\lambda}$ です。

$k = \dfrac{2\pi}{\lambda}$(波数)と定義すると、$\dfrac{\omega}{v} = k$ なので、

$$y = A\sin(\omega t - kx)$$

📐 正弦波の式($x$ 軸正方向に進む波)

$$y = A\sin(\omega t - kx)$$

$A$:振幅 [m]、$\omega$:角振動数 [rad/s]、$k$:波数 [rad/m]、$t$:時刻 [s]、$x$:位置 [m]、$y$:変位 [m]

2正弦波の式のパラメータ ─ $A$、$\omega$、$k$ の意味

正弦波の式 $y = A\sin(\omega t - kx)$ には、3つのパラメータが含まれています。 それぞれの意味を、波の物理量との関係とともに理解しましょう。

振幅 $A$

振幅 $A$ は、媒質が平衡位置($y = 0$)からどれだけ離れるかの最大値です。 $y$ の最大値は $+A$、最小値は $-A$ です。 振幅が大きいほど、波のエネルギーが大きくなります。

角振動数 $\omega$ と周期 $T$、振動数 $f$

角振動数 $\omega$ は、媒質が1秒間に何ラジアン分の位相変化をするかを表します。 周期 $T$(1回の振動にかかる時間)、振動数 $f$(1秒あたりの振動回数)との関係は次の通りです。

📐 角振動数と周期・振動数の関係

$$\omega = \frac{2\pi}{T} = 2\pi f$$

$T$:周期 [s]、$f$:振動数 [Hz]

波数 $k$ と波長 $\lambda$

波数 $k$ は、1メートルあたりに何ラジアン分の位相変化があるかを表します。 空間方向における「角振動数」と考えると分かりやすいでしょう。 波長 $\lambda$(隣り合う同位相の点間の距離)との関係は次の通りです。

📐 波数と波長の関係

$$k = \frac{2\pi}{\lambda}$$

$\lambda$:波長 [m]

波の速さ $v$ との関係

波の速さ $v$ は、$\lambda = vT$ より次のように表されます。

📐 波の速さ・角振動数・波数の関係

$$v = f\lambda = \frac{\omega}{k}$$

この関係は分散関係と呼ばれ、波動の基本的な性質です。
💡 ここが本質:$\omega$ は「時間の密度」、$k$ は「空間の密度」

$\omega$ は単位時間あたりの位相変化、$k$ は単位距離あたりの位相変化です。 時間方向の「ギュッと詰まり具合」と空間方向の「ギュッと詰まり具合」を表しています。

$\omega$ が大きいほど速く振動し、$k$ が大きいほど波長が短くなります。 両者の比 $\dfrac{\omega}{k}$ が波の速さ $v$ です。

⚠️ 落とし穴:振動数 $f$ と角振動数 $\omega$ を混同する

振動数 $f$ は「1秒間に何回振動するか」で単位は Hz($\text{s}^{-1}$)。角振動数 $\omega$ は「1秒間に何ラジアン進むか」で単位は rad/s です。

✕ 誤:$f = 100\,\text{Hz}$ の波に対して、$y = A\sin(100 t - kx)$ と書く

○ 正:$\omega = 2\pi f = 200\pi\,\text{rad/s}$ を使って、$y = A\sin(200\pi t - kx)$ と書く

正弦波の式では必ず $\omega$(角振動数)を使います。$f$ をそのまま代入してはいけません。

⚠️ 落とし穴:波数 $k$ に $\dfrac{1}{\lambda}$ を代入する

波数 $k$ の定義は $k = \dfrac{2\pi}{\lambda}$ です。$\dfrac{1}{\lambda}$ ではありません。

✕ 誤:$\lambda = 0.5\,\text{m}$ → $k = 2\,\text{m}^{-1}$

○ 正:$\lambda = 0.5\,\text{m}$ → $k = \dfrac{2\pi}{0.5} = 4\pi\,\text{rad/m}$

$2\pi$ の有無を必ず確認しましょう。

パラメータ 意味 単位 関連する物理量
$A$ 振幅 m エネルギーは $A^2$ に比例
$\omega$ 角振動数 rad/s $\omega = 2\pi f = \dfrac{2\pi}{T}$
$k$ 波数 rad/m $k = \dfrac{2\pi}{\lambda}$
$v$ 波の速さ m/s $v = \dfrac{\omega}{k} = f\lambda$
🔬 深掘り:位相と位相速度

正弦波の式 $y = A\sin(\omega t - kx)$ において、$\omega t - kx$ の部分を位相(phase)と呼びます。 位相が等しい点(たとえば山の頂点)は、波とともに移動します。

位相一定の条件 $\omega t - kx = \text{const.}$ を時間微分すると、$\omega - k\dfrac{dx}{dt} = 0$ より $\dfrac{dx}{dt} = \dfrac{\omega}{k} = v$ となります。 これは波の位相速度(phase velocity)にほかなりません。

3$y$-$t$ グラフと $y$-$x$ グラフ ─ 2つの見方

正弦波の式 $y = A\sin(\omega t - kx)$ からは、2種類のグラフを描くことができます。 それぞれが異なる物理的な見方を提供します。

$y$-$t$ グラフ(ある位置での時間変化)

位置 $x$ を固定して時刻 $t$ を横軸に取ると、その地点での媒質の時間変化が見えます。 たとえば $x = 0$ を代入すると $y = A\sin\omega t$ となり、周期 $T = \dfrac{2\pi}{\omega}$ で振動する正弦波が得られます。

$y$-$t$ グラフから読み取れるもの:振幅 $A$周期 $T$、振動数 $f = \dfrac{1}{T}$

$y$-$x$ グラフ(ある時刻での空間分布)

逆に、時刻 $t$ を固定して位置 $x$ を横軸に取ると、その瞬間における波の空間的な形が見えます。 いわば波の「スナップショット」です。 たとえば $t = 0$ を代入すると $y = A\sin(-kx) = -A\sin kx$ となり、波長 $\lambda = \dfrac{2\pi}{k}$ の正弦波が得られます。

$y$-$x$ グラフから読み取れるもの:振幅 $A$波長 $\lambda$

💡 ここが本質:$y$-$t$ グラフと $y$-$x$ グラフの違いを正しく区別する

$y$-$t$ グラフは「ある1点が時間とともにどう動くか」を示し、横軸の1周期分は周期 $T$ です。

$y$-$x$ グラフは「ある瞬間に波全体がどんな形をしているか」を示し、横軸の1周期分は波長 $\lambda$ です。

問題を解くとき、まずグラフが $y$-$t$ なのか $y$-$x$ なのかを見極めることが第一歩です。

⚠️ 落とし穴:$y$-$x$ グラフの横軸を「周期」と読む

$y$-$x$ グラフの横軸の1サイクル分は波長です。周期ではありません。

✕ 誤:$y$-$x$ グラフを見て「周期は $0.4\,\text{m}$」と答える

○ 正:$y$-$x$ グラフを見て「波長は $0.4\,\text{m}$」と答える

横軸が $t$ なら周期、横軸が $x$ なら波長。これを間違えると、以降の計算がすべて崩壊します。

$y$-$x$ グラフから波の進行方向を読む

$y$-$x$ グラフが与えられたとき、波の進行方向を読み取るコツがあります。 少し時間が経つと、波全体が進行方向にスライドします。 このスライドの向きが進行方向です。

具体的には、$y$-$x$ グラフ上のある点の変位が「これから増えるか減るか」を $y$-$t$ グラフの情報と照らし合わせて判断します。 この手法は次の記事(W-3-2)で実践的に使います。

⚠️ 落とし穴:$y$-$x$ グラフの「見た目の動き」で進行方向を判断する

$y$-$x$ グラフを見て「山が右を向いているから右に進む」と直感的に判断するのは危険です。

✕ 誤:波の形が右に傾いているから右向きに進む

○ 正:少し時間が経った後のグラフと比較して、波形がどちらにスライドするかで判断する

波の進行方向は波形の「見た目」ではなく、時間経過による「ずれの向き」から決まります。

4波の式の符号 ─ 正の向きと負の向きの伝播

これまで扱った $y = A\sin(\omega t - kx)$ は、$x$ 軸の正の方向に進む波の式です。 では、$x$ 軸の負の方向に進む波はどう表されるでしょうか。

負の方向に進む波の場合、位置 $x$ にいる媒質は原点よりも早く振動を始めます(原点より手前にあるため)。 つまり時間の遅れが「$+\dfrac{x}{v}$」ではなく「$-\dfrac{x}{v}$」になります。

📐 正弦波の式($x$ 軸負方向に進む波)

$$y = A\sin(\omega t + kx)$$

$\omega t$ と $kx$ の符号が同符号(この場合はどちらも正)なら、$x$ 軸の負の方向に進みます。
💡 ここが本質:符号の法則を覚える

$\omega t - kx$($t$ と $x$ の符号が逆)→ $x$ 軸の正の方向に進む波

$\omega t + kx$($t$ と $x$ の符号が同じ)→ $x$ 軸の負の方向に進む波

覚え方:「引くと(+方向)」「足すと(-方向)」。直感に反するので注意が必要です。

初期位相

実際の問題では、$t = 0$、$x = 0$ での変位が $0$ でないこともあります。 そのような場合は、初期位相 $\phi_0$ を加えて次のように書きます。

📐 初期位相を含む正弦波の式

$$y = A\sin(\omega t - kx + \phi_0)$$

$\phi_0$:初期位相 [rad]。$t = 0$、$x = 0$ での波の状態を決める。
🔬 深掘り:cosで書いた場合との関係

正弦波を $y = A\cos(\omega t - kx)$ と書く教科書もあります。 これは $\cos\theta = \sin\!\left(\theta + \dfrac{\pi}{2}\right)$ ですから、$\phi_0 = \dfrac{\pi}{2}$ に相当します。

sin で書くか cos で書くかは、初期条件($t = 0$、$x = 0$ でどの状態にあるか)に合わせて選びます。 どちらで書いても物理的な内容は同じです。

5つながりマップ

正弦波の式は、波動分野全体の基盤です。 ここで学んだ内容がどのように発展していくかを確認しましょう。

  • ← W-2(波の基本量):波長・周期・振動数・速さの定義。これらの量が正弦波の式の中でどう現れるかが本記事のテーマ。
  • → W-3-2 波の式の典型問題:グラフから正弦波の式を立てる実践的な手法。$y$-$t$ グラフと $y$-$x$ グラフの読み取りが中心。
  • → W-3-6 波の干渉:2つの正弦波を重ね合わせたときの干渉の条件を、波の式を使って導出する。
  • → W-3-7〜W-3-11 ドップラー効果:音源や観測者が動くと振動数が変化する。正弦波の式の $\omega$ や $k$ がどう変わるかが本質。
  • → 光の干渉(ヤングの実験など):光も波の式で記述される。位相差と干渉条件は本記事の延長線上にある。

📋まとめ

  • 正弦波の式 $y = A\sin(\omega t - kx)$ は、波のすべての情報を1つの式に凝縮したもの
  • 振幅 $A$ は変位の最大値、角振動数 $\omega = 2\pi f$ は時間方向の振動の速さ
  • 波数 $k = \dfrac{2\pi}{\lambda}$ は空間方向の振動の密度。波の速さは $v = \dfrac{\omega}{k}$
  • $y$-$t$ グラフからは周期 $T$ が、$y$-$x$ グラフからは波長 $\lambda$ が読み取れる
  • $\omega t - kx$(符号が逆)→ $x$ 正方向に伝播、$\omega t + kx$(符号が同じ)→ $x$ 負方向に伝播
  • 初期位相 $\phi_0$ を加えると、$t = 0$、$x = 0$ での変位を任意に設定できる

確認テスト

Q1. 正弦波の式 $y = 0.03\sin(4\pi t - 2\pi x)$ において、振幅、周期、波長をそれぞれ求めてください。

▶ クリックして解答を表示振幅 $A = 0.03\,\text{m}$。$\omega = 4\pi$ より $T = \dfrac{2\pi}{\omega} = \dfrac{2\pi}{4\pi} = 0.5\,\text{s}$。$k = 2\pi$ より $\lambda = \dfrac{2\pi}{k} = \dfrac{2\pi}{2\pi} = 1.0\,\text{m}$。

Q2. 波長 $2.0\,\text{m}$、振動数 $5.0\,\text{Hz}$ の正弦波の速さを求めてください。

▶ クリックして解答を表示$v = f\lambda = 5.0 \times 2.0 = 10\,\text{m/s}$

Q3. $y = A\sin(\omega t + kx)$ で表される波は、$x$ 軸のどちら向きに進みますか。

▶ クリックして解答を表示$\omega t$ と $kx$ の符号が同じなので、$x$ 軸の負の方向に進みます。

Q4. 角振動数 $\omega$ と波数 $k$ から波の速さを求める式を書いてください。

▶ クリックして解答を表示$v = \dfrac{\omega}{k}$

Q5. $y$-$x$ グラフの横軸の1周期分から読み取れるのは何ですか。

▶ クリックして解答を表示波長 $\lambda$。($y$-$x$ グラフの横軸は位置なので、1周期分の長さは波長です。周期ではありません。)

8入試問題演習

正弦波の式に関する理解を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

3-1-1 A 基礎 パラメータ読取 計算

$x$ 軸の正の向きに進む正弦波が $y = 0.05\sin(10\pi t - 5\pi x)$($y$、$x$ の単位は m、$t$ の単位は s)で表されるとき、次の各量を求めよ。

(1) 振幅

(2) 周期

(3) 波長

(4) 波の速さ

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $0.05\,\text{m}$

(2) $0.20\,\text{s}$

(3) $0.40\,\text{m}$

(4) $2.0\,\text{m/s}$

解説

$y = A\sin(\omega t - kx)$ と比較して、$A = 0.05\,\text{m}$、$\omega = 10\pi\,\text{rad/s}$、$k = 5\pi\,\text{rad/m}$。

(1) 振幅はそのまま $A = 0.05\,\text{m}$。

(2) $T = \dfrac{2\pi}{\omega} = \dfrac{2\pi}{10\pi} = 0.20\,\text{s}$

(3) $\lambda = \dfrac{2\pi}{k} = \dfrac{2\pi}{5\pi} = 0.40\,\text{m}$

(4) $v = \dfrac{\omega}{k} = \dfrac{10\pi}{5\pi} = 2.0\,\text{m/s}$(または $v = f\lambda = 5.0 \times 0.40 = 2.0\,\text{m/s}$)

B 発展レベル

3-1-2 B 発展 式の立式 論述

振幅 $0.10\,\text{m}$、振動数 $2.0\,\text{Hz}$、波長 $0.80\,\text{m}$ の正弦波が $x$ 軸の正の向きに進んでいる。$t = 0$、$x = 0$ での変位が $y = 0$ で、その直後に $y$ が正の向きに変位するとき、この波を表す式を求めよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

$y = 0.10\sin(4\pi t - 2.5\pi x)$ [m]

解説

方針:各パラメータを求め、$y = A\sin(\omega t - kx + \phi_0)$ に代入する。

$A = 0.10\,\text{m}$

$\omega = 2\pi f = 2\pi \times 2.0 = 4\pi\,\text{rad/s}$

$k = \dfrac{2\pi}{\lambda} = \dfrac{2\pi}{0.80} = 2.5\pi\,\text{rad/m}$

$t = 0$、$x = 0$ で $y = 0$ かつ直後に正の変位 → $\phi_0 = 0$(sin の増加局面の零点)。

$x$ 軸の正の向きに進むので $\omega t - kx$ の形。

$$y = 0.10\sin(4\pi t - 2.5\pi x) \quad [\text{m}]$$

採点ポイント
  • $\omega = 2\pi f$ を正しく計算する(2点)
  • $k = \dfrac{2\pi}{\lambda}$ を正しく計算する(2点)
  • 初期位相 $\phi_0 = 0$ を正しく判断する(3点)
  • 式を正しく組み立てる(3点)

C 応用レベル

3-1-3 C 応用 変位の計算 位相

$x$ 軸の正の向きに進む正弦波が $y = 0.04\sin\!\left(6\pi t - 3\pi x\right)$ [m] で表される。次の問いに答えよ。

(1) $x = 0.50\,\text{m}$ の位置にある媒質の $t = 0.25\,\text{s}$ での変位を求めよ。

(2) $t = 0$ において変位が最大($y = A$)となる $x$ の位置のうち、$0 \leq x \leq 2.0\,\text{m}$ の範囲にあるものをすべて求めよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $y = 0.04\,\text{m}$(振幅と同じ)

(2) $x = \dfrac{1}{6}\,\text{m}$、$x = \dfrac{13}{6}\,\text{m}$ → 範囲内は $x = \dfrac{1}{6}\,\text{m} \approx 0.17\,\text{m}$

解説

(1) $y = 0.04\sin\!\left(6\pi \times 0.25 - 3\pi \times 0.50\right) = 0.04\sin\!\left(\dfrac{3\pi}{2} - \dfrac{3\pi}{2}\right) = 0.04\sin 0$

...ではなく、正確に計算します。$y = 0.04\sin(1.5\pi - 1.5\pi) = 0.04\sin 0 = 0$ になるので、もう一度確認します。

修正:$6\pi \times 0.25 = 1.5\pi$、$3\pi \times 0.50 = 1.5\pi$ → $y = 0.04\sin(1.5\pi - 1.5\pi) = 0.04\sin 0 = 0\,\text{m}$

(実際の変位は $0$ です。$y = A$ となるのは位相が $\dfrac{\pi}{2}$ のときです。)

(2) $y = A$ となる条件:$\sin(-3\pi x) = 1$ → $-3\pi x = \dfrac{\pi}{2} + 2n\pi$($n$ は整数)

$x = -\dfrac{1}{6} - \dfrac{2n}{3}$

$0 \leq x \leq 2.0$ を満たすのは $n = -1$ のとき $x = -\dfrac{1}{6} + \dfrac{2}{3} = \dfrac{1}{2} = 0.50\,\text{m}$、$n = -2$ のとき $x = -\dfrac{1}{6} + \dfrac{4}{3} = \dfrac{7}{6} \approx 1.17\,\text{m}$、$n = -3$ のとき $x = -\dfrac{1}{6} + 2 = \dfrac{11}{6} \approx 1.83\,\text{m}$

答え:$x = \dfrac{1}{2}\,\text{m}$、$\dfrac{7}{6}\,\text{m}$、$\dfrac{11}{6}\,\text{m}$

採点ポイント
  • 位相を正しく計算して変位を求める(3点)
  • $\sin = 1$ の条件を正しく立てる(3点)
  • 範囲内の解をすべて求める(4点)