波が媒質の端に到達すると、反射して戻ってきます。
しかし反射の仕方は端の状態によって異なります。自由端では波形がそのまま返り、固定端では波形が上下反転して返ります。
この違いが定常波の腹・節の位置を決め、弦の振動や気柱の共鳴を理解する鍵になります。
自由端とは、媒質の端が自由に動ける状態です。例えばロープの端にリングをつけて棒に通し、自由にスライドできるようにした場合です。
反射波は入射波と同じ向き(位相変化なし)で返る
反射点は定常波の腹になる(最大振幅で振動)
自由端では媒質の端が自由に変位できるため、入射波が到達すると端が大きく変位し、その変位がそのまま反射波として返されます。端の変位は入射波の2倍になります。
自由端では入射波と反射波が同位相で重なるため、変位が常に最大になります。つまり自由端は定常波の腹です。
管楽器の開口端(開管の両端、閉管の開いた端)は自由端に相当し、腹になります。
固定端とは、媒質の端が動けない状態です。ロープの端を壁に固く結びつけた場合がこれに当たります。
反射波は入射波と逆の向き(位相が $\pi$ ずれる)で返る
反射点は定常波の節になる(変位は常に $0$)
固定端では媒質の端が動けないため、変位は常に $0$ です。入射波の山が到達しても端は動かず、入射波と反射波の変位が打ち消し合って常に $0$ になります。
固定端反射で「反転する」とは、波形が上下反転する(位相が $\pi$ ずれる)ことです。
✕ 誤:波形が左右反転する
○ 正:波形が上下反転する(山→谷、谷→山)
進行方向は逆になりますが、それは「反射」の結果であり、「反転」とは別の現象です。
入射波と反射波が重なると定常波が生じます。端の条件が腹か節かを決めます。
| 端の条件 | 反射の種類 | 位相変化 | 端の状態 |
|---|---|---|---|
| 自由端 | 自由端反射 | なし(同位相) | 腹(変位最大) |
| 固定端 | 固定端反射 | $\pi$(逆位相) | 節(変位 $0$) |
端が自由か固定かという境界条件が、定常波のパターン(腹と節の配置)を決め、さらに共鳴する振動数(固有振動数)を決定します。
弦の両端固定(両端が節)と、開管(両端が腹)、閉管(一端が節、一端が腹)で共鳴条件が異なるのは、この境界条件の違いによります。
固定端に波が到達すると、壁は波に対して「反作用の力」を及ぼします。この力が波を押し返す際に、変位の向きが反転します。
物理的には、壁は媒質を元の位置に戻そうとする力を及ぼすため、入射波と逆向きの変位を持つ反射波が生じます。ニュートンの第3法則(作用・反作用)の帰結です。
入試で頻出の反射波の作図法を確認しましょう。
まず反射点の右側(壁の向こう側)に、入射波がそのまま進んだと仮定した「仮想波」を描きます。
自由端:仮想波を反射点で左右折り返す → 反射波
固定端:仮想波を反射点で左右折り返し、さらに上下反転 → 反射波
実際の波形は、反射点より左側で入射波と反射波を重ね合わせて求めます。
問題文が「反射波を描け」なのか「合成波を描け」なのかをよく読みましょう。
✕ 誤:「合成波を描け」に対して反射波だけを描く
○ 正:「合成波を描け」には入射波+反射波の重ね合わせを描く
波の反射は定常波を生み出し、弦の振動や気柱の共鳴を理解する基礎です。
Q1. 自由端反射で、入射波の山は何として反射しますか。
Q2. 固定端反射で、反射点の変位は常にいくらですか。
Q3. 自由端反射の反射点は定常波の腹と節のどちらですか。
Q4. 固定端反射の作図で、自由端反射との違いは何ですか。
波の反射に関する入試形式の問題で理解を確認しましょう。
次の文の空欄を埋めよ。
自由端反射では、反射波は入射波と(ア)向きの変位で返り、反射点は定常波の(イ)になる。固定端反射では、反射波は入射波と(ウ)向きの変位で返り、反射点は定常波の(エ)になる。
(ア) 同じ (イ) 腹 (ウ) 逆 (エ) 節
自由端反射:位相変化なし → 同じ向き → 同位相で重なる → 腹
固定端反射:位相 $\pi$ ずれ → 逆向き → 逆位相で重なる → 節
振幅 $A$、波長 $\lambda$ のパルス波が固定端に向かって進んでいる。パルスの山が固定端に到達した瞬間、反射点での合成変位を求めよ。
$0$
固定端では変位は常に $0$ です。入射波の山($+A$)と反射波の谷($-A$)が重なり、$A + (-A) = 0$ となります。
これは固定端の定義そのものであり、端が動けないことの数学的表現です。
正弦波が自由端に向かって右向きに進んでいる。ある瞬間の入射波が $y = A\sin\left(\dfrac{2\pi}{\lambda}x\right)$($x \leq 0$ の範囲、自由端は $x = 0$)で表されるとき、この瞬間の反射波の式と合成波の式を求めよ。
反射波:$y_r = A\sin\left(-\dfrac{2\pi}{\lambda}x\right) = -A\sin\left(\dfrac{2\pi}{\lambda}x\right)$
合成波:$y = y_i + y_r = A\sin\left(\dfrac{2\pi}{\lambda}x\right) - A\sin\left(\dfrac{2\pi}{\lambda}x\right)$
自由端反射なので、反射波は $x = 0$ を対称軸に入射波を折り返した形。折り返しは $x \to -x$ の置換に相当し、$y_r = A\sin\left(-\dfrac{2\pi}{\lambda}x\right)$。
$x = 0$ での合成変位:$y(0) = A\sin(0) + A\sin(0) = 0 + 0$。しかし時間を含めた正確な議論では、自由端 $x = 0$ は腹(最大変位 $2A$)になります。
この問題は瞬間的な波形の議論であり、時間発展を含めた完全な式は $y = 2A\sin(kx)\cos(\omega t)$(自由端が腹)のような定常波になります。
固定端で反射が起こるロープ上で定常波が生じている。固定端から最も近い腹の位置は固定端からどれだけ離れているか。波長を $\lambda$ として答えよ。
$\dfrac{\lambda}{4}$
固定端は節。隣り合う節と腹の間隔は $\dfrac{\lambda}{4}$。よって固定端(節)から最も近い腹は $\dfrac{\lambda}{4}$ の位置。
右向きに進む正弦波パルス(振幅 $A = 2.0\,\text{cm}$、幅 $4.0\,\text{cm}$ の半波長分)が、右端の固定端に向かって速さ $v = 2.0\,\text{cm/s}$ で進んでいる。$t = 0$ でパルスの先端が固定端から $2.0\,\text{cm}$ の位置にあるとする。
(1) $t = 1.0\,\text{s}$ における合成波の概形を描け。
(2) パルスが完全に反射し終えるのは $t = 0$ から何秒後か。
(1) パルスの先頭が固定端に到達し、入射波と反射波が部分的に重なった波形
(2) $3.0\,\text{s}$ 後
(1) $t = 1.0\,\text{s}$ で先端は $2.0\,\text{cm}$ 進んで固定端に到達。パルスの前半分が壁にかかり、反射波(上下反転)と入射波が重なる。固定端では変位 $0$。
(2) パルスの先端が固定端に到達するのに $\dfrac{2.0}{2.0} = 1.0\,\text{s}$。パルスの幅 $4.0\,\text{cm}$ が完全に通過するのにさらに $\dfrac{4.0}{2.0} = 2.0\,\text{s}$。合計 $3.0\,\text{s}$。
弦の一端を固定し、他端を自由端としたとき、定常波が生じるための条件を述べよ。弦の長さを $L$、波の速さを $v$ として、共鳴する振動数を一般式で表せ。
固定端が節、自由端が腹。$L = \left(n - \dfrac{1}{2}\right)\dfrac{\lambda}{2} = \dfrac{(2n-1)\lambda}{4}$($n = 1, 2, 3, \ldots$)
$f_n = \dfrac{(2n-1)v}{4L}$
固定端は節、自由端は腹。弦の長さには節から腹までの距離の奇数倍が入る。
節と腹の間隔は $\dfrac{\lambda}{4}$。$L = (2n-1) \cdot \dfrac{\lambda}{4}$ より $\lambda_n = \dfrac{4L}{2n-1}$。
$f_n = \dfrac{v}{\lambda_n} = \dfrac{(2n-1)v}{4L}$
基本振動 ($n=1$):$f_1 = \dfrac{v}{4L}$。奇数倍の振動数のみが共鳴する。